平凡君のおかげですっかり機嫌が良くなった俺は、理人の買い物に付き合ってやって、それから溜まり場に向かった。
それにしても料理が趣味だってのは知ってるけど、料理本選ぶのに一時間って、主夫だな〜、あいつ。
まぁ、理人は料理ができる代わりに掃除は壊滅的だし〜。
俺〜? 俺はほどほどにできるよ〜、料理も掃除も〜。
あ、ついでに靖真は〜、何もできないよ〜。
靖真は生粋のお坊ちゃんだから、お付の人がいるんだよ〜。あとメイドさんも居るから靖真の家。
何時の時代の人なのか分からないよねぇ〜?
せめてお手伝いさんだよね〜?
ま、こんな話はどっか置いといて、暗くなってきたんだよね〜。
こんなに暗い道、あの子が通ってたらカモられるかな〜? でも、あ〜んな平凡な子がこ〜んな遅い時間に出歩いてるわけ無いよね〜。
出歩いてたらカモられるんだろうな〜、とか思ってたら、前方からそんな声が聞こえてくるんだよね〜。
あ〜あ、やだやだ。
折角あの子で気分良くなってたのに〜。
弱い者いじめって〜、嫌いなんだけどさ〜。
………なんか、夜の喧嘩思い出して、ムカムカしてきた。
カツアゲしてるやつなんて、弱い奴がするって相場なんだよね〜。
「お前の財布、シケてんなー! たった千円しか入ってないのかよ!」
「カバンの中も教科書とかしか入ってねぇし! 見かけ通りの平凡だな!」
ゲラゲラ笑ってんじゃねぇよ。
不愉快だっての。
「お前本当にもう持ってないのかよ!」
「本当に、それ、だけです…」
「たく、たんねぇよ! お前、家に帰って親の財布取ってこいよ!」
「そ、そんな………無理、で」
ガッと殴った音がしたら、ドサッと倒れる音が聞こえてた。
殴り倒されたんだろうな〜。
「お前は大人しく頷いとけばいいんだよ」
「口答えなんて生意気」
「なんかムカつくやつだから、このままサンドバックにしねー?」
「それいいじゃん」
俺がどんどん近づいてるのに気付かないマヌケな三人組。
倒れて蹲っている子を楽しそうにゲラゲラ笑って蹴るのが見えた。
気分は、最低。
つかつかと近寄って行くと、蹴られた拍子に顔を庇ってた腕が外れて顔が見えた。
今日、目で追いかけてた、泣き顔が可愛い平凡君。
脚に力を入れて動くままに蹴りあげた。
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