朝のケチャップ事件から、俺は不幸の連続だった。

いつも俺の登校時と同じ時間に朝の散歩をするゴールデンレトリーバーのダミアちゃんのサラサラの毛と俺のカバンの留め具が絡まって、仕方なくダミアちゃんのサラサラの毛を切ることになるし、ダミアちゃんのことで時間食ったから遅刻スレスレになって何とかギリギリセーフではあったけど、寄りによって生活指導のハゲ山(本名、早山。頭部は寂しいバーコード)に廊下でぶつかって怒られるし、一限目の数学は当てられて不正解だったからプリント集めて職員室まで持って行かなきゃならなし、三限目の体育のサッカーなんて体慣らすためのボール転がしで足元狂ったやつの流れ弾で後頭部強打して気絶させられるし、おかげで昼休みのパン争奪戦には参戦できずに購買一苦いと有名なゴーヤパンしか残ってなかった。

ゴーヤパン、聞きしに勝る苦さだった。

ゴーヤパンのおかげで気力も何もなくなった俺に運と言うやつは容赦なかった。

午後の授業も頭ズキズキする中受けたけど、まったく頭に入らない。

それどころか、なんだこのノートは!

せめてノートぐらいはまともに取ろうぜ、俺。
試験範囲なのに……、ミミズ文字ってどうしたら書けるんだ、俺!

そんな感じに不幸に見舞われてる俺って本当に運勢最悪だ。

やっと帰れると思ったら朝のことを覚えていたハゲ山が罰として資料室の掃除しろって偉そうに命令されたし。その資料室に行ってみたら紙の山。終わるめどが立ってきたと思えばあのクソハゲが書類持ってくるし!

やっと終わった頃にはあたりは薄暗いし、見たかったドラマの再放送、見逃した。

もう、泣きたい。

ああ、それにしても早く帰らないと。

あの道は怖い。

俺の通る帰り道には繁華街を少し外れた道を通るんだけど、そこは明るいうちは問題ない普通の道なんだけど、暗くなると不良さんがちらほらと出てくるちょっと危ないところでもある。

なんでもちょっと奥に入ったところに不良さんたちのたまって居る所があるんだって。

だからなのか、不良さんたちの出没率が住宅街の道なのに高い。

俺は遠目で二三回見ただけで済んでるからよかったんだけど、それは今よりも早い時間帯の話であって、こんな遅い時間にあの道を通ったことは一回も無い。

早く帰ろう。

もっと遅くなると、もっと怖い。

出来るだけ、速足で帰り道を歩いた。

学校を出て10分もかかっていない地点。

問題の通り道に差し掛かりました。

この道を通り過ぎれば、もう安全地帯の我が家。
はぁー、こんなに我が家が恋しいだなんて初めてだよ。
一度止まって確認。

よし、誰もいない!

このまま通り過ぎればいいんだよ。

安心しながら、でも足早にその道を通っていたら、路地から話し声が、………………あっ、目、合った。

にやって笑った……、

「ねぇ、君」

ああ、誰か、助けて。


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