俺はまたもや朝練を遅刻しそうになっていた。
「間に合えぇえ!」
ガッ
「どふぅっ!」
「うっ」
そして俺はあまりに急いでいて足元をよく確認してなかったようで、勢いよく何かにつまずいてしまった。くそいてぇ…!
「って、苗字先輩!?」
「おはよう、もじゃくん」
「赤也ッス!先輩また倒れてたンスか!?」
「ハッハッハッ!ご覧の通りさ」
「笑い事じゃないッスよ」
なかなか動く気がない苗字先輩に呆れていたが埒があかないのでそのまま部室まで引きずって行くことにした。
「遅れてすんませんんん!」
「赤也ァァアアアアッ!」
「ひぃい!」
「あれ、苗字さんまた倒れてたの?」
「おはようございます幸村くん」
「苗字先輩俺と態度ちげぇ!」
「なんか逆らっちゃいけない気がして…」
「苗字早いな、お前部活入ってないだろ?」
「やあジャッカル!私のスピードだと早く出ないと間に合わないんだぁ」
「…赤也は倒れてた苗字さんを運んで来たんだね?」
「そうなのか?」
「は、はいッス」
戸惑いながらも正直に頷くと部長はじゃあ多少の遅刻は見逃してあげるよ、なんて言って出て行った。俺、許された…?副部長もはやく着替えろ、とだけ言い残して部長の後に続いた。
ジャッカル先輩は苗字先輩と少し話した後に部室を出た。
「苗字先輩はどうするんスか」
「後でジャッカルが教室まで引きずってくれるってーありがとね、もじゃくん!」
「赤也ッス!」