「ブン太と仁王はまだ駄目かぁ」

「そのようだな」

「あれ、赤也は大丈夫なのかい?」

「まあ、なんかこいつ間抜けっぽいし…」

(赤也に間抜け呼ばわりされる苗字って…)

「それより、こいつはどうするのだ」

「ああ、俺が送ってくよ」

「苗字の家は知っているのか?」

「…俺のクラスの奴はほとんど知ってるんだ」

「そこまで苗字は人気者なのか」

「クラスでは倒れてる苗字を見たら家に届けるのが暗黙のルールなんだよ…」

「あ!そういえば俺倒れてる苗字さんを見つけたら小さな幸運が訪れるって聞いたことあるかも」

「何スかその噂!?」






心地よい振動が伝わってきて私は目を開けた。
目の前に広がるのはガングロタマゴちゃん…ではなくジャッカルだった。私ジャッカルにおぶられてる。


「あれ、ムスカは?」

「寝ぼけてんのか?ほら、着いたぞ」

「わーありがとうー」

「苗字さんもう倒れたら駄目だよ?危ないからね?」


ひょっこりと顔を出したのはさっき見かけた美男子だった。
誰だっけこの人…確か


「幸村精市だよ、よろしくね」

「真田弦一郎だ」

「切原赤也ッス」


そうそう、幸村くん。
クラスの子がよく言う単語だ。

幸村くんを筆頭に次々と知らない顔ぶれが自己紹介をしてくれた。

最後に口を開こうとした柳くんの名前を私は知っているぞ?


「糸目くん!」

「柳蓮二だ」

「あれ…」


そうだ、糸目くんの名前を私は知っているんだった…。
時すでに遅かったようで糸目くんは目をカッと見開いてこちらをみていた。


「▼糸目くんは 仲間になりたそうに こちらを みている!」

「苗字はよ帰って寝ろ」

「ういっす」


家に入る瞬間にみた糸、柳くんの顔はとても怖かったです。…怖かったです…。

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