「ぅご…」
目が覚めてあたりを見回すと、そこは知らない部屋だった。
ぼんやりとした頭でぼんやりと考える。
ここはどこだ。
しばらくぼんやりとしていたら急に部屋の扉が開いた、と思ったらジャッカルが入ってきた。
「よお苗字、起きてるか?」
「起きてるよ〜しかしあれだね、拾われたのがジャッカルで良かったよ〜私てっきり攫われたのかと…ぷッ」
「笑いごとじゃねぇだろ…」
「そうだよ苗字さん、女の子があんなところで寝てるなんて危ないよ」
ジャッカルと話していたらいつの間にかわらわらと見目麗しい人達が部屋に入ってきた。なにここホスト部?
「ここはテニス部の、部室だ」
「!まるで思考を読まれたようだよ、糸目くん」
「柳蓮二だ」
「そっか〜よろしく糸目くん」
「柳蓮二だ」
「や、柳くん」
糸目くんには冗談が通じないようだ。
これ以上怒らせるのは得策ではないと考え、私は口を閉じた。
「というか苗字はなんで学校の前に倒れてたんだ?土曜日だぞ今日」
「あー、宿題出しにきた」
「苗字ッ!宿題を忘れるなどたるんどるぞ!」
「す、すんません」
「まあまあ!副部長!」
名も知らぬおじさまに(副部長…?)突然怒られたと思ったら頭がくるくるな奴がかばってくれた。
「(赤也に同類としてみられたことに苗字は気づいてないんだろうな)俺たち帰るけど苗字どうする?」
「帰る」
「苗字さん宿題は出したのかい?」
「出した」
「やばいぞ」
「ん?どうした、ジャッカル」
「苗字が単語で喋り出すのはそろそろ面倒になってきたぞ、ていう合図なんだ!」
「ふむ、なるほど」
「なあ、ジャッカル」
「どうした?ブン太」
「こいつ俺達のこと知らねえのかよ」
「あー知らねえだろうなぁ」
「…」
「おや、帰るんですか仁王くん」
「おん」
眠気に勝てず瞼が下がりつつある。
うっすらと目を開けて室内の様子を窺うとカラフルな頭とムスカが見えた。ここは実はラピュタだったのかもしれない。
ムスカが出て行ったことを見届けた途端に眠気は最高点に達し私は目を閉じた。