それは初夏の頃。

俺は走っていた。
理由は簡単、寝過ごしたからである。


「副部長に怒られる…!」


後にくるであろう制裁を恐れて足を止めそうになるが、そうは言ってられないのでただひたすらに足を動かす。太陽の日差しが強くて思わずくらりとした。


「?なんか転がって…って人!?」

「…」


校門が見えてきた頃、門の前になにかが転がっているのが見えた。よく見てみるとそれはうちの制服を着た女子生徒だったから本能的にそれを避けて通ってしまったが、あれは本当にやばいのでは…?と思い直し女子生徒の脇に手をやり引きずって部室まで持って行くことにした。

(ついでに遅刻の言い訳にも使わせて貰おっと)




「遅れてすんませんッ!」

「赤也ぁああ」

「ヒィッ」

「貴様はまた…ッ」
「あれ、赤也なに引きずってるの?」

「部長!実は…」


「…ということなんスよ」

「なるほど、それで赤也はその子を遅刻の言い訳に使おうとしたわけね」

「はい、そうなん…なんでわかったんスか!?」

「ほぉ…やはり遅刻だったか…」

「ヒィイッ」

「とりあえずこの子を保健室に…」


ガチャ


「おー赤也きたのか…って苗字?まぁた倒れてたのか」


ジャッカル先輩が入ってきたかと思うと倒れている女子生徒に向かってそう言った。その口振りからは日頃から関わりがあったことが伺えるのだが、一体どんな関係なんだろう。


「なんだ〜ジャッカルの知り合い?」

「ああ、同じクラスなんだ。すまねぇな迷惑かけて…そいつしょっちゅう倒れるんだよ」

「え、大丈夫何スかそれ」

「大丈夫大丈夫、こいつただ面倒臭がりなだけだから」


何てことないようにジャッカル先輩は言っていたけど、それって本当に大丈夫なのだろうか。

とりあえず苗字?先輩は部室に放置して俺たちは部活に取り組んだ。

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