なんだかんだ(ほとんど寝ていたわけだが)お昼になってしまっていた。
私は綱吉と中身がお揃いのお弁当箱を持って1人孤立している綱吉のところに行こうとした、が
「苗字さん!こっち!」
奴と約束していたのを完全に忘れていた…。
私は綱吉に必死に視線で助けを求めたけれども困ったような怒ったような顔をしているだけで助けてはくれなかった。名前ちゃん悲しい。
仕方なしに渋々といった表情を作りながら花野の元へいったのがだ彼女は鈍いのか図太いのかそんな不機嫌丸出しの私の腕を掴み無理やり向かいの席に座らされた。
全く、いい迷惑である。
「苗字さんのお弁当美味しそう!」
「本当だー!彩り綺麗!」
「ひとつもーらいっ」
席に着くと花野の周りにいた女の子たちがわらわらと群がってきた。
勝手に人のお弁当を覗いた揚句に勝手に人のお弁当を掻っ攫っていくとはどういうことなのか。思わず出てしまいそうになる手を押さえつけながら1人でお弁当を食べる綱吉のことを眺めていた。
かわいいなぁ、本当に可愛いな私の幼馴染は!
こんなに可愛くて心の綺麗な子を苛める奴の気がしれないし知りたくもない!
ああ、ああ可愛い愛しい好き好き好き!!今すぐに綱吉の手を取って遠くへ逃げてしまいたい。
でも、駄目。
ちゃんとけじめはつけなくちゃ。
やられたらやり返すのなんて当然でしょ?
利子付きできっちりきっかり返してあげなくちゃね。
「苗字さん、どうしたの?」
「…なんでもないよ、ごちそうさま」
「名前ちゃんまだ全然食べてないじゃん」
「ちょっと気分悪くてさ、後で食べるよ」
「大丈夫?保健室行く?」
そういって名も知らぬ女の子に手を置かれた。
触らないで欲しい、本当に。お前らの心配とかいらないから。
そりゃ私だってそこまで性格悪くないから普通に触られるなら多少は我慢できる、けどこいつらは全員綱吉を傷つけたのだ。
肩が触れるだけでも虫唾が走るね。
「大丈夫だから」
そういって心配そうにこちらを見ている綱吉に合図を送って私は教室を出た。
もちろん、手にお弁当を持って。