あったかい、なんかふわふわしてるし、いい匂いが、するよ。
「あ、気がつきましたか?」
まだぼんやりとしか目が見えていない中、緑色のなにかが見えた。それは次第に形を成し、はっきりと私の目に映った。
「あ、あああ」
「どどどどうしました!?」
「ひっ人殺し…!?」
「…!?…あ」
あれはやはり夢じゃなかったのかもしれない。だってあの時のあの人が、今目の前にいるのだから。
…いや、仮に違ったとしたら私今凄く失礼なこと言ったなぁ…。目の前の人もなんだか悲しそうな顔してるし…。
「あ、あの…ごめ」
「ごめんなさい」
「は」
あれ、多分謝るのは私の方な筈なのに。
「多分あなたがみたのは、もう1人の僕なんです」
「…あの、失礼ですがお気の方は確かですか」
「あ、いや、あの実は」
それからフリッピーさんと言うらしい彼は、自身の身の上話を聴かせてくれた。詳しくは、まあ割愛させてもらうが、要するに、戦争の時に作り出された人格が戦争を連想させるものをみると暴走してしまう、らしい。
でも
「やっぱり殺したことに変わりはないじゃないですか」
「そうですけど、ここじゃ死ぬのが当たり前のようなものなんです」
「は」
「幸せの木のおかげなんです」
「幸せの、木?」
「はい、そのおかげで僕達は、死ぬことがないんです」
やっぱりフリッピーさんは頭が少しやられてしまっているのかもしれない。