「ここです」


フリッピーさんに案内されたのは小さな洋服屋さんだった。入り口から漂うおしゃれ感に私は腰が引けている。情けない。


「え、なにしてるんですか」

「あ、はははははー」


思わず近くの柱に隠れてしまった私を見てフリッピーさんは若干不審者を見る目で私をみていた。…やめて、そんな目で私を見つめないで…!
なんてアホなことを考えていると突然柱が動き、運動神経のない私はその衝撃に耐えきれず尻もちをついてしまった。


「ん、大丈夫ー?」


やけにのんびりとして、そんでもって聞き覚えのある声に思わずドキリ。
恐る恐る顔を上げるとそこにはいつかのランピ―さんがいた。あわわ、どうしよう。


「あれ、この前の…」

「わた、私の名前は名前です…あの、この前はいきなり逃げてすみません…でも、あのやっぱりちょっと怖いのでヒィイごめんなさい」

「え、俺なんでこんなに嫌われてるの」

「名前さんは新人さんですからねぇ…はじめて会った時血だらけだった?」

「うん」

「やっぱり」


フリッピーさんはもうそこまで怖くないし(ていうか初めて見た人とは別人)むしろ優しいし頼りになるからいいんだけどどうもランピ―さんは怖い。初めて会った時の衝撃もそうなんだけどなにより背が高い。威圧感半端ない怖い!!
いや、別に私が小さいとかそんなじゃなしいむしろ平均なんだけどランピ―さんは私と頭2個半くらい違う。怖い。


「ところでランピ―はこんなところでなにしてるの?」

「俺?服屋のバイト」

「あれ、この間は床屋みたいなこと言ってませんでした…?」


軽くトラウマになった血濡れのランピ―さんを思い出して身震いする。
でもここに来たからには日常茶飯事なんだろうなぁ、とフリッピーさんの話を思い出しながらいい加減に体を起こした。


「ああ、あれクビになった」

「(だろうな)」

「さて、いい加減買い物しましょうか名前さん」

「そっすね!」



あれから満足のいくまで服を買い(だってお金はいっぱいある)フリッピーさんと次の店へ
向かう。ランピ―さんにも服を選んでもらったのだが意外、といったら失礼かもしれないけど意外とセンスが良くて服屋のバイトやるだけあるなぁと思いました!作文!!
まだ仕事が残っているランピ―さんと別れて次の店で日用品を買い、荷物を置きにいったん家へ戻ることに。


「名前さん」

「あ、呼び捨てでいいですよー!敬語もいりませんし」

「そう?じゃあ名前も呼び捨てで構わないよ」

「え!いや、じゃあ慣れたら!」

「ふふふ、早く慣れるといいね」


フリッピーさんを呼び捨てにするのはなんだか、こう、ねぇ?
恐れ多いので暫くは敬称つけさせてくださいっす!ういっす!

と心の中で意気込んでいたらお腹の虫がギュグルルル、なんて怪獣でも住んでるのかってぐらい鳴き出した。やだ、恥ずかしいッ!こんなんでも乙女なんです!…誰だ笑ったの出てこい、おい。


「そろそろお昼にしようか」

「フリッピーさんまじで後光が差して見える」


あ、苦笑いされた。



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