「くそ…サイタマさんどこいった…」
あの後結局サイタマさんを逃がしてしまい必死に探し回った。でも見つからない。
怪人を倒しに行ったのなら簡単に見つけられると思っていたんだけど、とここまで考えて私は思い出した。
突如A市を襲った大爆発は…
なんだ、サイタマさんA市にいたんだ。
そうとわかれば話は早い。私はサイタマさんのために鍛え上げた脚力を惜しげもなく発揮して閑散とした道を走り抜けた。
A市に近づくにつれて爆発音が大きくなり煙が上がっているのに気がつき、一旦足を止める。冷静になり辺りを見渡すと女の子が泣いているのが見えた。そしてそのすぐ近くには怪人が。
「あーあ、可哀想に」
思わず目を逸らす。可哀想だ。でも私は動かない。だって私には関係ないから。あの女の子を助けたって私には利益がないのだし。
「何者だお前は」
怪人の声が聞こえたので私は視線を怪人の方へやった。するとそこにはとても凛々しくて格好よくって頼りになって輝く頭部が愛くるしい愛しのサイタマさんが腕を組んでそこに立っていた。
…てか女の子場所移動してない?もしかして?もしかしたら?サイタマさんが抱きかかえて助けたパターン?…ガキが出過ぎた真似しやがって…。
とかもんもんしている思考を切り替えて(許したわけではない)サイタマさんの方に視線という名の愛を送ろうとした、ら。
なにやら怪人如きがサイタマさんに失礼なことを言っていたので私は右手にありったけの力を込めて殴ろうとしたが私が地面を蹴るより早くサイタマさんが素敵なパンチをお見舞いしていた。…はぁ、やっぱり素敵…私も殴られたい…。
その後叫んでいたサイタマさんの背後に回り思いっきり抱きついた。あーいいにおい。サイタマさんの腹筋たまらん。へへへ。
「名前…みてたの?(こいつ今気配なかったこぇえ)」
「勿論ばっちり!サイタマさんが格好いいとこみせてくれたからさっきのことは許してあげる。」
「お、おう…?」