「ごめん、さようなら」

そういって彼は去っていった。

ごめんね、実は全部知ってたの。あなたの側にいたら自然とわかってしまったの。
私はどこかの鈍感な彼女じゃないから、知ってたの。

小さい頃はあんなに弱虫で泣き虫だったのに。いつの間にそんなに逞しくなったのよ。私がいないとダメダメだったくせに。

「綱吉」

「え」

（もう私、必要ないかしら）

そんな言葉を飲み込んで

「いいえ…さようなら」

あなたがいないとダメだったのは、どうやら私だったらしい。

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