「あ…れ?」
目を覚ませばそこは、ボンゴレイタリア本部の庭でした。
「って、なんでやねん!」
「誰だ」
「っ!?」
思わず関西弁で盛大に一人ツッコミをしてみれば、やけに冷たい声と、首筋に刄(やいば)が当てられる。
「(な、なに…!!?なんでこんなことになってるの!)」
「答えろ」
「ひっ!」
答えない私に痺れを切らしたのか、その刃がプツリと首の皮膚を破る。
私は恐怖に声も出せない。
もうダメだと、そう思った瞬間に、刄(やいば)が外された。
「え…」
「着いてこい」
「あ…」
大鎌をしまったその人の、フードから覗いた瞳がやけに、悲しそうに見えた。
「あ、あの…ここ、」
「…ここはボンゴレの屋敷だ。侵入者は始末しろと命じられてるが」
おそるおそると尋ねれば、なんとも恐ろしい台詞が帰ってきた。
私が身を固くしたのに気付いたフードの人は、ポスリと頭を叩くように撫でる。
「見たところお前は、無害だからな」
「あ…」
「心配するな。私が事情を説明する」
「あ…りがとう、ございます」
なんだろう…。私は不思議な感覚に陥る。
この人は怖いけど、怖くない…。悲しそうで、さみしそう…。
しばらく着いていくと、やけに豪華な扉の前にやってきた。
九代目にあえるのかな…確かにお義父さんなら、なんとかしてくれるかも。
ようやく見知った人に会えると安心していた時、扉の向こうから聞こえた声は、青年の声だった。
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