俺の知る『うずまきナルト』と『名前』という人物について話をしよう。
まず二人には、表の顔、と言う物がある。
うずまきナルトはドジでドベ。元気。うるさい。ど根性。で成り立っている。
腹に抱える闇に脅える事なく立ち向かう明るく前向きな姿勢は、今となっては理解者も増える仲間内のムードメーカとなった。
そして名前という人物の構成物質は一言で穏やか。
誰に対しても分け隔てなく与える優しい暖かさは、女神であると称賛する輩がいる程に定評のある人間だ。
………これが『表』である。
さて、今俺が居る場所を明かそうか。
何を隠そう(いや、隠さなければいけないのだが)俺は暗部と言う組織に属している。
暗部での肩書きは 暗部副総隊長。
地位としてはNo.2に当たる。
そしてそんな俺の前に居る人物達こそ、暗部総隊長と総秘書。
それがうずまきナルトと名前である。
そう、是が『表』の対義語『裏』であり、それが彼等の本性なのだ。
『表』では相反するするであろう元気と穏やかだが、『裏』が本性の彼等は相反するどころか共鳴し、お互いをお互いの一部として認め合っている。
愛だ恋だのの話をも超越するほど、信頼を寄せ合っているのだとは俺の見解だが、あながち間違ってはいないだろう。
一言で言えば、似ている。のだ。
「シカマル。何ぼうっと阿呆面してんだよ。仕事しろ仕事」
「シカちゃん。やることないならこの任務行って来なさい。ランクはSSS、制限は1時間。場所は砂隠れの付近よ。あとは自分で確認して」
「お か し い だ ろ 。普通の奴らが三日かけてやっと着く距離を1時間!?往復の時間を考えると任務に割く時間5分もねぇだろが」
「大丈夫大丈夫。お前なら出来る出来る」
「その適当な応援が腹立つな」
「シカちゃん1分経ったよー」
「もうカウント入ってんのか!つか引き受けるなんて言ってねぇだろ。見ろこの書類の山!」
ほら見ろ。
こ の !傍若無人加減!
『表』の彼等しか知らない連中が見れば卒倒してしまうほどの温度差。
唯我独尊我無敵。
それが自惚れなどではなく事実なのだから余計タチが悪いのだ。
「お前らが面倒だと言って寄越したこの書類の制限はあと2時間。その間俺が1時間居ないとすれば、誰が残りを処理すんだよ」
「それは、面倒だな」
「うーん。じゃあ第1部隊に回してくるよ。この任務。」
(すまん、第1部隊…)
きっと第1部隊には理不尽なまでの命令が下されるだろう。俺の所為ではないが、心内で謝罪した。
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