短編 | ナノ かまってちゃんとかまってほしいくん
セブルス
※学年捏造されています

『セブルスー!』
「なんだよ」
『暇ー!』
「そうか。僕は忙しい」


 そう言って目線を上げることもなく対応するセブルスに、ナマエは膨れる。


『私は暇なの。かまって?』
「……見ればわかるだろ。ぼくは今レポートをやっているんだ」
『むー。いいもん。レギュラスにかまってもらうもんー』

(レギュラスだって、相手にしないに決まっている)

 そう確信していたセブルスは特に気にするでもなく、羽ペンを動かし続けた。


『レギュ――あ。ルシウス先輩!』
「やあナマエ。どうしたのかな?美しい顔がくもっているようだ」


 予想外の人物の登場に、ピタっとセブルスの羽ペンの動きが止まる。その様子を目ざとく見つけたルシウスは、わざと声のトーンを下げた。それにつられてナマエも声を小さくしたため、自然と顔を寄せて囁く格好になる。


『セブルスが相手にしてくれないのー』
「こんなに素敵なレディを放っておくだなんて感心できないね」


 微かに聞こえてくる2人の声にセブルスはいらだった。無視しきれない自分に舌打ちをし、目線をあげるとナマエの髪を手で梳きながら耳元に口を近づけるルシウスの姿が目に入ってくる。


「私でよければお相手しよう。それなりの大人の付き合いをしてもらうことになるが、かまわないね?」
「かまうにきまっているでしょう!」


 羽ペンを投げ出しツカツカと2人の下へ歩く、いつもよりも眉間に皺を寄せたセブルスを見て、ルシウスが不敵な笑みを浮かべた。ナマエの腰を引いて自分のほうに引き寄せながら「なんだ?」と問うルシウスに、今にも呪いをかけそうなオーラを纏ったセブルスが詰め寄る。


「さっき、ナルシッサ先輩が探していましたよ。見かけたら中庭に来るように伝えてって言ってました」


 そんなこと言ってたっけ?という顔をするナマエをセブルスが強引にルシウスからはがす。そして不満を言うルシウスを外へ押しやり、ナマエの手を引いて暖炉の前に戻った。


「終わったら相手をしてやるからじっとしていろ」
『え?』
「ここにいろって言ってるんだ。何度も同じこと言わせるな」


 再びペンを握り羊皮紙に走らせるセブルスは、ナマエが何を言っても顔を上げることはなかったが、左手はナマエの手を握ったまま離さなかった。


『セブルスー?書きにくくない?』
「うるさい。気が散るから黙ってろ」
『でも黙って待ってるのは暇ー』
「……ナマエとの時間を作るために早く終えたいんだと言ってもか?」
『静かに待ってる』
「ああ。そうしてくれ」
『ねえ、セブルス』
「まだ1分も経っていないぞ」
『大好き』


 ナマエが囁くと、セブルスの手が止まった。ぎこちなく顔を上げたセブルスの黒い瞳が、にこにこ笑顔のナマエを捕らえてすぐに逸らされる。


「そんなの、今さら言わなくてもわかってる」
『セブルスは?私のこと好き?』
「……それも、今さらだろ」
『つまり好きってこと?』
「――っそうだよ!だから、お前は僕の隣から離れるな!」
『うんっ。邪魔しないようにする。だからその分、あとでたくさんかまってね』
「もう遅い」


 セブルスはとてもじゃないが宿題を進められる気分じゃないと言い、教科書を閉じてナマエの髪に触れた。
かまってちゃんとかまってほしいくん Fin.

※おまけ

「ルシウス先輩。セブルス先輩で遊ぶのはやめてください」
「おや、レギュラス。君も追い出されたのか?」
「一緒にしないでください。自分から出てきたんですよ。あなたのせいで、2人が談話室でいちゃつき始めたので」
「出てこなきゃいけないようなことを始めたのか?どれ、様子を見てこよう」
「ルシウス先輩頭沸いてますね気持ち悪いです」
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