赤仁←丸 | ナノ
昼休み。1人でチョコパンを頬張っていると近づいてくる足音に、また来たか。と思わずため息をついてしまう。

「仁王先ぱーい!…あれ?」
「お前クラスにダチいねーのかよぃ?」
弁当箱を持って教室に飛び込みこちらに向かってきた後輩をチョコパンをかじったまま軽く睨みつけやるも、ちっとも利いてないらしく
「いますって!でも飯は大好きな恋人と食べたいじゃないっすか!」
とニヤリと笑われてしまうと逆に自分がダメージを食らってしまう。

「仁王ならいねーよぃ」
「えー、何処行ったんすか?」
「…知らねー」
「本当に知らないんすか?」
「嘘つく意味がないだろぃ」
「…ふーん?まあいいや!」

赤也は普段から後輩のくせに気が強い方だが仁王のこととなるとさらに強気になる。
本当は仁王は俺に行き先を告げていった。
嘘をついたのは仁王と赤也が2人きりでいる時間を作りたくなかったから。
飲み込んだパンがなんだか苦く感じる。

仁王のノートの白さに笑いながら
「今度うちで勉強教えてもらおうかなー」
と鼻歌まじりに呟く赤也から目をそらした先に現れたのは、俺の想い人。

「おかえりー」
「ただいま帰ったぜよー」
パンを抱えて帰ってきた仁王に気付いた赤也はやっぱり知ってたんじゃないっすかと小さく言って
「仁王先輩一緒に食べましょう!」
「赤也来てたんか。」
「ずっと待ってたんっすよ!」
まとわりつく赤也を引き剥がしながらも仁王の顔はどこか嬉しそうで…窓の外へと目を向けると肩をポンポンと叩かれる。

「これ、期間限定の新商品なんじゃて。いちごデニッシュメロンパン…とかそんなやつなんじゃけどブン太好きそうだから買ってきたんよ。」
はい。と妙にでかくて赤いパンを差し出され受け取ると
「赤いからブン太っぽいと思っての」
という仁王に涙目になりそうなのを必死に耐える。
その優しさが辛いことに仁王は気付いていない。

「仁王先輩、俺のはないんっすか?」
「すまん。赤也おると思わんかったから…」
「まぁ食べ物って言ったら丸井先輩ですしね。じゃあお詫びに今日うち来てくださいね!」
「ええけど…襲わんでよ。」
小声で言う仁王に楽しそうに笑う赤也。

どっちも大切な仲間なのに2人の仲を妬ましく思う黒い感情が抑えきれない。

同じ部活で同じクラス。
あまり人とつるまない仁王と一番親しいのは俺だと思ってるやつも多いし、そう自負していた。
このまま友達として仲を深めていけばもしかしたら、なんて思っていたのに…

貰ったパンの袋を抱えたままでいると
「好みじゃなかった?」
と少し眉を下げた仁王に慌てて袋をあけパンを口に含み
「超うまいぜぃ!」
と笑ってみせると
「そりゃ良かったぜよ」
と微笑みを返す仁王。

ああ、その微笑みが俺だけのものになったらいいのに。
そう思わずにはいられない。

仁王の笑みを見た赤也の視線にも何も思えないくらい、仁王を思う気持ちが止まらない。


予鈴がなり赤也が渋々教室へと戻るのを見送った仁王に声をかけられる。
「のぅブン太、お前さん…」
「んー?」
「いや…次の社会面倒くさいのぅ?」
「さぼるなよぃ?」
「はーい。」
わざとらしく頬を膨らませながら席につく仁王の背中を見つめながら考える。


仁王はきっと俺が赤也のことを好きだと勘違いしている。
赤也と3人でいるときやたら俺に話しかけるのは赤也と会話をしてほしくないからだと思う。

赤也と2人で話していると不安そうにこちらを見ているのにも気付いている。
その会話の内容の多くは仁王のことだというのに。

それでも、勘違いされたままでいた方がいい。
本当の気持ちに気付かれて友達でいられなくなるくらいなら、恋敵と思われてしまうことの方がマシだ。


ただ俺は諦めてなんかいない。
友人として、先輩としてよりもどうしても仁王への恋心が溢れてしまうそんな自分に苦笑する。
この気持ちが隠しきれなくなったらどうなるのだろう。


口に放り込んだガムがいつもより甘くないのはさっき食べた甘い甘いパンのせいのはずだ。




片思いネタ、結構好きなのです。

赤也はブン太が仁王のことを好きなことに気付いてます。
だからちょっと可愛さが減ってます。
でも仁王のことを除けばもちろん大切な先輩だし大切な後輩。

3人でいるときの仁王の気持ちに気付いてない赤也はブン太に嫉妬してるし仁王に関して話す2人を見て仁王は不安になる

そんな感じの設定ですがあんまり関係ないですかね (笑)


以上!

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