20130315214620 | ナノ
「仁王先輩!これ食べます?新商品なんっすよ!…あっ!丸井先輩にあげるとは言ってないじゃないっすか!」
「いいだろぃ?仁王の隣譲ってやったんだからそれくらい我慢しろよぃ。」
「譲ってもらったんじゃないっす。じゃんけんで勝ったんです!ね、仁王先輩!」
「そうだったん?」
「えぇぇぇぇ…」
「公共の場で騒ぐでない!」
「真田君の声が一番大きいですよ。」

幸い他の乗客のいないバスに乗り賑わいながら立海大附属中テニス部は合同練習の為に氷帝学園へと向かっている。

「青学は7分25秒前に到着しているようだ。10分40秒前にあと3分15秒で着くと貞治から連絡があった。」
「電車より細けーんだな…」

柳の言葉を耳にした仁王がそそくさと降車の支度をするのをみた幸村は
「遠征だっていうのに仁王があんなにあからさまにワクワクしてるなんてなんだか妬けるなぁ。」
と愚痴をこぼした。

バスが氷帝学園に到着するやいなや仁王はバスを飛び降り広い背中に勢いよく飛びついた。
「久しぶりじゃの手塚!会いたかったぜよ。」
「10日ぶりだな。俺も会いたかった。」
すり寄ってくる仁王の方を振り向いた手塚は堅い表情を緩ませる。

「手塚ってあんな顔も出来るんだにゃー」
「なーんかちょっとムカつきません?」
「奇遇だね越前。僕もそう思っていたところだよ。」

「仁王先輩が自らベタベタするなんて…超かわいいじゃないっすか!!」
「写真撮っておこうぜ。ジャッカルが。」
「俺かよ!」
「大丈夫だ。すでにこのカメラにおさめてある。」
「流石です、柳君。」

10日ぶりに恋人と再会を果たした2人の普段見せない姿…仁王の嬉しそうな顔に各校の部員たちが苛立ったりほれぼれしたり様々な感情を抱いていると大きな声が響き渡る。

「おい手塚ぁ!俺様の学校で仁王といちゃつくとはいい度胸じゃねーの。ちょうどいい、仁王をかけて俺様と勝負しな!」
部員を引き連れ現れた跡部の言葉に手塚は顔をしかめる。
「理不尽やとは思うけど跡部を支持させてもらうで。堪忍な。」
「今回の目的は試合ではないだろう。第一俺たちがそんなことをし…」
「ダブルスならええよ。手塚と俺が組むけぇ、跡部も誰かと組んで試合するナリ。それでよか?」

手塚の言葉を遮った仁王に顔を見つめられた跡部は、仁王の頼みなら仕方ねぇと提案を受け入れる。
「いいのか?仁王。」
「おん。じゃってこんな機会でもなきゃお前さんとダブルス組めんじゃろ?」
「…全くお前は…」
呆れたように少し笑みを浮かべ仁王の頭を撫でる手塚に、それまで黙っていた幸村が口を開く。

「俺が組もう。このまま手塚に仁王をとられたくはないからね。いいだろう?」
「あーん?誰でもいいぜ。仁王を取り返すぜ!」

「大石…大丈夫なのかな?」
「…こりゃ大変。」
仁王は自分のものだ。全員の思いが一致している今、止める者は誰1人いない。


「0-40」
「仁王先輩その調子ッス!頑張ってください!」
「仁王が勝ったら意味ないだろぃ」
「あっそっか」
「しかし仁王も幸村も立海の部員だ。負けは許されない。この場合どうすれば…」
「弦一郎、今は仁王を取り戻すことが第一だ。しかし…」

「もし跡部たちが勝ったらどうするの?2に人は学校違うC」
という芥川の言葉をきっかけに跡部と幸村のコンビネーションは崩れ始めた

「言うまでもなく仁王は俺がもらうよ。」
「あーん?だったらわざわざ勝負なんかしてねーよ。俺様のものだ!なぁ樺地」
「ウス」
「そもそも仁王に氷帝は似合わない」
「なんだと?」

揉めている2人に仁王はケラケラ笑いながら手塚に話しかける。
「あの2人仲ええのぅ」
「あれは仲がいいと言うのか?ところで今日は日差しが強いが大丈夫か?辛いと感じたらすぐに…」
「へっちゃらじゃ。手塚とダブルス組めて楽しいからの!」
「俺も楽しいし…幸せだ。」
微笑みを交わす2人に跡部と幸村の争いは加速する。

「仁王たちはテニスを楽しんでるからな。跡部たちの方がイップスなるんじゃねーか?激ダサだぜ。」
「宍戸さん、俺たちがやりましょう!そして仁王さんを頂きましょう!」
「長太郎…お前もか…」

「このままじゃ仁王先輩が手塚さんのものに…!どうしましょう先輩たち!」
「仁王手塚が勝つ確率99%」
「そんなぁ!」
「どうにかするぜぃ。ジャッカルが。」
「また俺かよ!」

ハラハラと半ば泣きそうになりながら観戦する仲間をよそにこの上なく楽しそうに、関西の2人のそれよりもべたついた雰囲気に柳生も嫉妬でわずかに顔を歪める。

「こうなったら手塚部長の弱点を探すしかねーな!」
「弱点ってなんだよ」
「それは…仁王さん手塚部長の弱点ってなんっすか!」
桃城の問い掛けに仁王はちらりと手塚を見上げ、手塚と俺だけの秘密じゃ。と返す

「俺の弱点…仁王、か?」
「っ…突然そんなこと言わんで…」
普段絶対見ることのできない顔を赤らめる仁王の姿に手塚以外の全員が心を奪われ、試合も手付かずとなりそのまま終了してしまう。

「これで仁王は俺のものと公認されたな。」
「おん!お遊びなんに凄い本気で試合してたじゃろ?」
「仁王がかかっているんだ。本気にならない訳ないだろう。負けたとしても譲る気はないが。」
周囲の目も気にせず仁王を抱きしめる手塚の胸に顔をうずめる仁王に数え切れない悲鳴が響き渡る

長い間抱きしめあった後仁王は落胆している幸村と跡部のもとへ向かうと肩を叩き声をかける。
「そんなに落ち込まんで。楽しかったぜよ。今度はシングルスしてくんしゃい。…仲間として仲良くしてほしいナリ。」
そう言って口角をあげる仁王に2人は仁王!と腕を伸ばすが何かにそれを遮られる。

「悪いが仁王を抱きしめていいのは俺だけだ。」
「お前さん意外と独占欲強いのぅ?」
「それだけお前を愛しているということだ」
「…俺も手塚のこと愛しとるよ」

完全に2人だけの空気を作っている仁王と手塚にもう誰1人言葉を発さなかったが、全員が下剋上だ、と思っていたことは知る由もない。




「塚仁甘々で嫉妬する幸村と跡部や立海メンバー」だったのですが甘くないしギャグっぽくなってしまいました…

やたら手塚イリュージョンする仁王にそれを受け入れてる(?)手塚、塚仁!
塚仁好きなんですがなかなか書かないので難しくも楽しかったです!

甘々な文が特に書けないので練習せねばですね!

書き直しもするのでなんなりと申し付けてください!
リクエストありがとうございました!
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