とりあえず、今回ヴェサリウスを視察に来ている母上に聞いてみる事にした。
…母上ならば…いや、母上だからこそわかるはずだ!
何せヴェサリウスの視察だ。艦内を重点的に回っているのだから、どこかでジェニウスを見かけた可能性もある。
俺はさりげなさを装って、ブリッジへと顔を出した。
「失礼します!」
「!!イザーク!」
ブリッジに入ると、目ざとく母上が俺を見つけた。好都合だ。
「今回の視察は母…いえ、ジュール議員がいらっしゃると伺いましたので」
「様子を見に来てくれたのか。ちょうど良かった。視察を終えて今、お前のところまで行こうとしていたところだぞ」
俺がもっともらしい言い訳をすると、母上は別に疑った様子もなく、むしろ機嫌良さそうに微笑む。
「そうですか…ですが、ジュー…」
「さあ!!お前の部屋まで案内してくれ。クルーゼ、私はもういいな?」
「はい。わざわざ視察にご足労いただき、ありがとうございました」
俺の言葉を遮って、母上はガシッと俺の肩をつかむ。そのまま後ろを振り返ってクルーゼ隊長から許しを得ると、母上はご機嫌で俺をブリッジから連れ出していった。
「あ、あの母上!聞きたい事が…」
「ああ、母にもあるぞ。部屋でゆっくり話そう」
部屋で?!ちょっと…待て…この流れは…!
たらりと冷や汗が流れる。
このご機嫌度合いからいって、俺にはとんでもなくヤバい気配しか伝わらない。長年の勘でわかる。
このまま付き合えば、ロクな事にならない。
「はっ…母上!私は急用を思い出しましたので…!!」
「逃がさんぞ、イザーク」
俺をつかむ母の手に、今まで以上の力がこもった。ついでに声の迫力が増している。
「さあ、今日こそ…この中から婚約者を選んでもらう!嫌とは言わせんからな!だいたいお前は昔から…」
…はっ…始まった!こうなってからが長いんだ…!
部屋の前まで強制的につれられ、俺は逃げる事もかなわず母上のグチと説教を聞かされ続けるのだった。
母上END
(ジェニウスどころじゃ…!!は、母上、もうそろそろ…)
(甘い!!)
母上には適わない。
☆残念!不正解!もう一度トライしてみてね♪