とりあえず、俺はラスティに話を聞くことにした。
気に入らないが、ラスティならジェニウスの居場所くらい知っていそうだからだ。
何かと言えば二人でよからぬ事を企てているしな…
格納庫に行くとラスティが整備の奴らと話をしている姿を見つける事ができた。
「ラスティ!」
「おー? あ、イザークか。どした??」
俺が呼びかけると、ラスティは陽気な動作で近づいてくる。
「ジェニウスを見かけなかったか?」
「ん?アルト?……ふーん……」
「な…なんだ」
ただ問いかけただけだというのに、ラスティの表情は明らかにニヤつきだした。
「別に?イザークが、アルトをねぇ…」
「だから、なんだというんだ!知っているのか!知らないのか!」
「……教えてほしい?」
「はぁ?!」
俺はラスティから逆に質問をされて、思わず叫んだ。
聞きたいから問いかけているんだろうが!阿呆かコイツは!
「……もういい。他をあたる」
「おや、いいのかなー」
「知るか!さっさと答えんお前が悪い!」
俺はそっぽを向いて、格納庫を出ようとした。すると背後にいるラスティが腕を組みながら、頷く気配がする。
「そんな必死で探すとか、イザークってアルトの事結構好きだよねー」
「な!!」
何を唐突に言い出すのか。振り返るとラスティは、ニヤついた顔を隠しもせずに俺に向けていた。
「愛しの姫を捜して艦内をさまよう王子ってか?」
「何がだ!!俺はただっ……」
「ただ?」
くっ……ここで話しては当初の予定が……!
俺は口から出かかった言葉をぐっと飲み込んで沈黙を守る。
「な、なんでもない…ジェニウスを見かけたら俺のところに来るように伝えてくれ」
「え?愛しの姫を見つけたら王子の元へかけつけるように言ってくれ?」
「だから!!なんでそうなる?!」
「楽しいから」
ケロリとした顔で断言される。
コイツの性格は知っていたつもりだが、俺の短い導火線は火を噴いた。
「らーすーてぃぃぃぃ!!!」
「おぉ!イザークが噴火した!助けてアルト!」
「女に助けを求めるな!みっともない!」
「じゃあ、ディアッカ!いや、あすらーん!!」
ラスティは逃げきる事も捕まることもせず、加減をしながら格納庫を走り回る。その後を俺は追いかけるが、段々と当初の目的がラスティをシメることに変わってきた。
「貴様、ふざけるなぁぁ!ちょっと待てぇ!」
「待ったら、優しくしてくれる?」
ラスティは走りながら俺を振り返って、なにやらキラキラと目を輝かせる。はっきり言って気持ち悪い。乙女のオーラを出しているつもりだろうが……やはり気持ち悪い。
「するか!!」
俺が即答すると、ラスティは高らかに笑いながら更に逃げるスピードを上げた。
「じゃあ、ヤダよーん」
「きさまあぁぁぁあ!!!!」
「あっはっはっはー!そんなに必死で追いかけるなんて、イザーク俺のこと愛しすぎだよ!」
「気色の悪いことを言うな!!」
誰が貴様なんぞに愛をささげるか!!気色の悪い!!
俺はなんとしてもラスティを一発殴るまではと必死に奴を追いかける。
そんな事をしていると、一日が過ぎてしまっていた。
ラスティEND
(ラスティ!!どこだぁぁぁ!!)
(もーいーよ☆)
(隠れんぼじゃないんだぞ!!出てこい貴様ぁ!)
クルーゼ隊いちのいたずら小僧に捕まった!
☆残念!不正解!もう一度トライしてみてね♪