とりあえず、俺は気が進まないながらもアスランに聞いてみる事にした。
「くっそ…アスランの奴になんで俺が…」
そう思わず口に出してしまうぐらい、不本意だった。だが、この際、文句を言っていても仕方のない事。
腹をくくって待機室をのぞくと、アスランが一人で何かをしているところだった。こちらからは死角になって何をしているか確認できないが、別に気にする必要もないだろう。
「貴様ひとりか」
「イザーク?ああ、そうだけど?」
「…ジェニウスは」
俺がぶすっとして答えると、アスランは不思議そうな顔をしながら、俺を見つめてくる。
「え?アルト?」
「そうだ!一回で聞き取れ!」
二度も尋ねるのが嫌だった俺は、思わず怒鳴った。すると、少しだけ眉根を寄せたアスランが、ため息を吐いて答えてくる。
「俺は知らないさ。さっきまで、ラスティと一緒に居たし」
「ラスティと?」
死角になっていた手元が、露わになる。それは、遊技途中のチェスボードだ。
「…チェスか……ふん」
見ると、ラスティのものと思わしき白は、黒に押されていた。
「…………」
「…どうした?イザーク」
押されていると思っていた白だが、ひとつ、強烈な反撃を与える事のできる道を発見した。それを発見すると、俺は黙ってアスランの前に立ち、白の駒を動かす。
「なっ!」
「どうだ、逆転できるものなら、してみせろ」
俺は得意げにアスランを見下ろす。すると、アスランはじっとチェスボードを眺め、しばらく考えこむようなそぶりを見せた。
ざまあみろ!ここはいくらなんでも切り替えしできんはずだ!
密かに勝利を確信した。その直後、アスランが動く。
「残念だな、イザーク……ここにも、伏兵(ポーン)は動かせる」
「なっ!……ならば、ここはどうだ!」
俺はたたきつけるように、駒を動かす。
「そこも、駄目」
「なぁにぃぃ!!」
そうやって俺たちは、相手の駒を取り合い、邪魔しつつゲームを進めていったのだった。
アスランEND
(え、ちょ、二人とも何してんの?つか、イザーク、そこ俺の…)
(黙っててくれ(黙れ)ラスティ))
(えー……)
もはやソレどころじゃない。
☆残念!不正解!もう一度トライしてみてね♪