ジェニウスを探せ!
▼ カード:アスラン
とりあえず、俺は気が進まないながらもアスランに聞いてみる事にした。

「くっそ…アスランの奴になんで俺が…」

そう思わず口に出してしまうぐらい、不本意だった。だが、この際、文句を言っていても仕方のない事。
腹をくくって待機室をのぞくと、アスランが一人で何かをしているところだった。こちらからは死角になって何をしているか確認できないが、別に気にする必要もないだろう。

「貴様ひとりか」
「イザーク?ああ、そうだけど?」
「…ジェニウスは」

俺がぶすっとして答えると、アスランは不思議そうな顔をしながら、俺を見つめてくる。

「え?アルト?」
「そうだ!一回で聞き取れ!」

二度も尋ねるのが嫌だった俺は、思わず怒鳴った。すると、少しだけ眉根を寄せたアスランが、ため息を吐いて答えてくる。

「俺は知らないさ。さっきまで、ラスティと一緒に居たし」
「ラスティと?」

死角になっていた手元が、露わになる。それは、遊技途中のチェスボードだ。

「…チェスか……ふん」

見ると、ラスティのものと思わしき白は、黒に押されていた。

「…………」
「…どうした?イザーク」

押されていると思っていた白だが、ひとつ、強烈な反撃を与える事のできる道を発見した。それを発見すると、俺は黙ってアスランの前に立ち、白の駒を動かす。

「なっ!」
「どうだ、逆転できるものなら、してみせろ」

俺は得意げにアスランを見下ろす。すると、アスランはじっとチェスボードを眺め、しばらく考えこむようなそぶりを見せた。


ざまあみろ!ここはいくらなんでも切り替えしできんはずだ!


密かに勝利を確信した。その直後、アスランが動く。

「残念だな、イザーク……ここにも、伏兵(ポーン)は動かせる」
「なっ!……ならば、ここはどうだ!」

俺はたたきつけるように、駒を動かす。

「そこも、駄目」
「なぁにぃぃ!!」

そうやって俺たちは、相手の駒を取り合い、邪魔しつつゲームを進めていったのだった。



アスランEND
(え、ちょ、二人とも何してんの?つか、イザーク、そこ俺の…)
(黙っててくれ(黙れ)ラスティ))
(えー……)

もはやソレどころじゃない。


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