ジェニウスを探せ!
▼ カード:アスラン
ヴェサリウスを降りて、すぐに軍港にある雑貨屋へと向かう。雑貨屋は一店舗しかないので探すのは楽だった。
俺は見慣れた(見慣れたくもないが!)紺色の頭を見つけ、すぐにその肩をつかむ。

「アスラァァン!!!」
「うわっ!!!い、イザーク?!何するんだいきなり!」
「うるさい!!ジェニウスはどこだ!!」
「アルト?」
「そうだ!!」

俺は息を切らせながらも、勢いよくアスランを問いつめる。またしてもここにジェニウスの姿が見当たらず、ついに俺は堪忍袋の尾が切れたかのように怒鳴った。
その声に眉を寄せつつ、反対にアスランは静かな声で言った。

「アルトなら…さっき先に帰ったけど?」
「な…………なっんだとぉぉぉぉぉおお?!!」
「イザーク、静かにしろ。周りが迷惑する」
「うるさい!!先に帰ったとはどういう事だ!!貴様ら、一緒に買い物してたんじゃなかったのか!!」

俺の血管がブチ切れる。
頭に血が上って周りの事などどうでも良くなった。

「はぁ……イザーク、場所を…いや、とりあえず外に行こう」
「ならば早く来い!」
「俺はここに買い物しに来たんだ。会計くらい待てよ」
「さっさとしろぉ!」

アスランは再びため息を吐き出しながら、すぐにレジへと向かう。俺はそれを腕を組みながら殺気を振りまきつつ眺めた。


ジェニウスの奴ぅ……アスランと一緒に来たなら、何故先に帰る!?アイツ、バカじゃないのか?!アスランもアスランだ!何故、少しぐらいアイツを引き留めない!使えん奴め!!


「終わった。出ようイザーク」
「いちいち指図するな!」
「なら、静かにしろ。俺が恥ずかしいだろ。離れて歩いてくれ」
「言われんでも、誰が貴様と肩を並べるかぁ!!」
「あー、わかった!わかったから!」

耳をふさぎながらスタスタと歩き出すアスランに、俺の怒りは最頂点に達する。

「アスラン貴様ぁ!!」
「もぉ、いいからさっさと店を出るぞ!!」

アスランが足早に店を出るので、俺も急いで後を追う。アイツにだけは負けたくない。

「何なんだ、何をさっきから怒ってるんだよ。アルトを探してるのか?」
「そうだ!!アイツと来たら……少しぐらい一カ所に留まれ!!何故、行き先々で俺がアイツの後を追いかけて走らねばならんのだ!」
「そんなの…」

アスランが何かを言う前に、俺はアスランをキッと睨みつけて怒りをぶつける。

「貴様も貴様だぁ!!少しぐらいアイツを引き留めておけ!!っていうか、一緒に来たなら一緒に帰れ!!」
「なんの八つ当たりなんだよ…」

買い物したモノを入れたと思わしき紙袋を抱えながら、アスランは再度ため息を吐き出す。

「うるさい!貴様がモタモタしているからだ!さっさと買い物ぐらいしろ!」
「あのな……いい加減、俺にだって我慢の限界ってものがあるんだぞ……」
「ほぉ?やるのか?その勝負受けてたつ!!!」

アスラン目が、いい目になった。
腰に手を当て、俺は高らかにアスランへと勝負を受ける宣言をしたが、アスランは明らかに怒りながら、その感情とは裏腹に静かな声を出した。

「その勝負は帰ったらする。だけど先にお前に言いたい事がある」
「なんだ!」

そしてアスランは俺を睨みつけながら、衝撃的な言葉を吐いた。

「そんなにアルトに会いたかったんだったら、ヴェサリウスを走り回る前に、手元の通信機で呼び出せばいいじゃないか」
「……………!!」

その言葉に、俺は一瞬言葉を見失った。

「軍支給の通信機。装着義務があるからアルトだって着けてるだろ。俺だって今も着けてるし。お前だって…」
「う、」
「通信で呼び出せば簡単なのに、なんだって俺がお前に怒られなくちゃならないんだ?完全に八つ当たりだろ!」
「うるさーい!!!そんな事、初めから知っていた!ラスティに聞いたら、貴様等が買い物に行っていると言うから!」

俺が口を挟む隙を与えず、普段はこんなに話さない無口なアスランが饒舌になる。
実のところを言うと、通信の存在なんて頭から消え去っていた。図星を突かれて羞恥に顔が染まるのを止められない。

「じゃあ、俺がお前に怒鳴られる理由がないじゃないか。何なんだよ…」
「貴様が悪い!」
「なんで!」
「なんでもだ!!」

アスランに問いかけられながら、俺は素早く通信をジェニウスにつなぐ。
その様子を、アスランはため息を吐き出しながら眺めていた。

「ジェニウス!!貴様、今どこだ!!」
【あれ?イザーク?何、急に…】
「いいから、さっさと答えろ!」

俺が怒鳴り散らしていると、アスランは何か言いたげに俺を見つめる。

「なんだアスラン!気持ち悪い目で見つめるな!」
「怒鳴ってたって話が進まないだろ」
「貴様が居なければもっと話が早いわぁ!!」
「そうか。じゃあ俺はもう行くぞ」
「さっさと行け!それと!!ヴェサリウスの搭乗口は東側は閉まってるぞ!」
「……わかった。じゃあな」
「早く行け!」

俺はアスランが完全に見えなくなるのを確認してから、改めて通信先のジェニウスに話しかける。だが、俺が話しかける前にジェニウスの奴が先に口を開いた。

【イザークって、意外と優しいよね】
「なんだいきなり」
【だって、アスランにわざわざ搭乗口のこと教えてあげるとか。しかも怒鳴りながら。どこのツンデレ?】
「なっ!」
【教えなきゃ、アスランは間違いなく東側から上るし、上りきって立て看板見た後、ため息吐き出しながら反対側まで戻る。そうするとイザークは、アスランより早く帰ってこれるんじゃないの?キミ今、外なんでしょ?】

ジェニウスがよどみなく言う台詞のシチュエーションを思い浮かべて、俺は言葉を失った。

【……あれ?イザーク?イザークー?】
「……ジェニウス」
【はい?】
「アスランの事はどうでもいい」

そうだ。もはや、そんな事はどうでもいい。というか、忘れたい。

【はぁ…で、なんだっけ?】
「貴様、トリ頭か!今、どこに居るのかと聞いただろうが!」
【ああ、そうそう。そうだねー……】
「おい、ジェニウス?!」

通信先の声がいきなり途切れた。通信は切れていないようだが、急にジェニウスの声が聞こえなくなり、結局俺は奴がどこに居るのか、まだ知ることができていない。

「くっそ!なんなんだ!ジェニウス!おい!ジェニウス!!」
【「そんなに怒鳴らなくても、聞こえてるよイザーク」】

通信機から聞こえる声と、俺の背後からする声に違和感がある。まさかと思って勢いよく振り返ると…

「貴様っ!!」
「やほー」

ぶちっと通信を切っている最中のジェニウスが居た。
俺はここに来て、ようやく探し回った本人に会う事ができたのだった。


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おめでとうございます!
見事10枚のカードを使い切りましたね!それでは、最後に、正解のエンディングを見に行きましょう!


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