そうして俺は誰にも会う事なく、アスランとラスティの部屋に着いてしまった。
「…レクルームにも食堂にも待機室にもブリッジにも…どこにも居ないという事はおそらく、誰かの部屋に居るはずだからな…」
ここで決まりだ。
ラスティやアスランたちは今まで見かけなかった。ラスティは俺がヴェサリウスに搭乗した後、荷物を持ってきたくらいだからすでに艦内に居ると考えてもいいが、まだ部屋に居るのだろう。
俺は内心「勝った!」と勝利のポーズをとって、二人の部屋の呼び出しボタンを押す。
「誰ー?」
「俺だ!」
「……俺俺詐欺?」
「貴様、ブチ殺すぞラスティ!!」
「…………」
俺が力の限り叫ぶと、二人の部屋のドアが開く。
「ヤダなー、ジョークじゃん。そんな視線で人を射殺せるぐらい睨んじゃダメだろ?」
「やれるものならとっくに貴様は死んでいる!ジェニウスはどこだ?!」
「は?アルト?」
のんびりと欠伸をするラスティは、どこかのほほんと俺を見た。
欠伸している時点で俺の睨みなんぞモノともしていないだろうがぁ!
そのスローテンポに俺は今まで苛ついていた気分が更に高まるのを感じた。
そしてラスティの胸ぐらをつかんで、再度聞く。
「ジェニウスは、どこ、だ?!」
「アルトは、アスランと、買い物に、お外へ、GO☆」
血管が切れるかと思った。
苛立つ気持ちを無理矢理抑えて、再度問いかけたというのに、奴は爽やかな笑顔で俺の真似をして言葉を区切ってくる。
「貴様、血祭りにあげるぞ!」
「パイロット同士の殺傷喧嘩は処罰対象だってイザーク」
「貴様を今すぐ成敗できるなら処罰くらい受けてやるわぁ!!」
「えー俺、痛いの嫌いなんだよねー」
はぁ…とため息を吐き出すラスティに、俺はつかんでいた胸ぐらを上にぐいと持ち上げる。
「ラスティ!!」
「はいはい…ストップ。それより、いいの?」
「何がだ!」
「アスランと、アルト。二人で仲良く買い物に行ったんだよ?」
「あぁ?!さっき聞いた!!それがどうした!」
ラスティの質問の意図がわからず、俺は更に力を込める。
「げっっほ……あのさ……俺をシメ上げる…前に……」
「なんだ?!さっさと言え!」
「この先聞きたい…なら、手を……」
「!!」
俺は仕方なく、シメ上げた手をゆっくりとおろす。だが、まだ胸ぐらはつかんだままだ。
「先は!」
「はぁ……げっほ……」
「ラスティ!」
「ちょ…シメ上げたのお前だろー……」
ラスティは二・三深呼吸をすると、俺を見る。
「アスランとアルトは、軍港の雑貨屋に行った」
「雑貨屋……だと?!」
「うん。何でも部品がそこにしかないんだって。急だから他にもいけないし……で、アルトと二人で仲良く行っちゃったわけだ。アスランが」
『アスラン』の部分をやけに強調するラスティ。
俺はアスランの名を出される度に、何故だか更に怒りが沸き上がってくるのを感じた。
「軍港だな!」
「そうそう。早く行った方がいいぜー」
「わかっている!!そんなことぉ!!」
そうして今度こそアイツを捕まえるため、俺は本日何度目になるかわからない全力ダッシュをしたのだった。
「アスラァァン!!!!」
そう叫ぶ俺の前を歩く奴らは皆、何故だか俺に道をゆずってくれ続けていた。
マルチエンディング・ルール
10枚のカードを全て使って、正解ルートを探しましょう。正解のルートを辿ると話が進展しますが、間違えた時点でバッドエンドになりますので、ご注意ください☆
この後、イザークは誰にアルトの居場所を聞くのでしょうか?
残りカード【1枚】
・アスランに聞く