「アルテミス・ヴァル・ジェニウスー!!!!」
ドアを蹴破る勢いで俺は待機室へと入る。
自動スライド式なので、実際には蹴破るなんて動作はできないが、それぐらいの気持ちで入った。
だが、ドアを開けた俺と目が合ったのは、不思議そうな顔をする母上だった。
「は、母上?!何をしているんですか!」
「お前こそ、何をしている?そんなに慌てて…母はそんな風に育てた覚えはないぞ。もう少し落ち着け」
「すっ、すみません!」
母上から窘めるような視線を受けて、俺は慌てて深呼吸をする。そして改めて母上に問いかけた。
やはり待機室には母上以外の誰も居なかったからだ。
「母上、アルテミス・ヴァル・ジェニウスを見かけませんでしたか?!」
「アルテミス?」
「俺と同じ赤服で、金髪で、のほほんとしているバカ女です!」
ジェニウスの名前を言ってもピンと来ない母上に、とり急いでジェニウスの特徴を告げると、母上はやっと「ああ」と思い出してくれたようだった。
「あの可愛い女パイロットか」
可愛い?!どこがだ?!
決して可愛いだとか可憐だとかいう部類に分類されないであろうアイツの普段の様子を思い出して、俺は母上が人違いをしているのではと思った。
「母上、あの…」
「先ほどまで私とお茶を楽しんでいたぞ」
「アイツはそんな女の部類に……って、えぇぇ?!本当ですか?!それは!!」
人違いだと告げる前に、母上は衝撃的な事を俺に言った。アイツと今までお茶をしていたと。
お茶だとぉ?!そんな余裕があったのか!!っていうか、なんで母上とのんびりお茶なんかしてやがるんだ!!
俺が驚きのあまり聞き返すと、母上は少しだけムッとして俺を見る。
「この母が、嘘をつくと思うのか?イザーク!」
「いえっ!そのような…」
「金髪で、紫の瞳をした髪の長い赤服パイロットだろう。アルテミス・ヴァル・ジェニウスという名なのか…そうか……私とした事が名を聞くのを忘れていたからちょうど良い」
そう独り言を呟く母上は、どこか嬉しそうだった。
「あの、母上」
「なんだ?」
母上の思案の邪魔をしてはと思ったが、俺は怒鳴りたい心を必死で抑えて大人しく質問する。
「ジェニウスは、その後どこに?」
「ああ、お前と同じ赤の奴に連れ出されていたぞ。どこかで見た顔だが、誰だったか…」
「赤服?!いえ、それだけ聞ければ充分です!!では!」
これ以上、母上の話に付き合っていれば、確実に面倒な事になる。何故だかわからないが、そう予感した俺は、すぐに待機室から出ていった。
「…ふぅ……母上の話では赤服…という事だが…」
ニコルも、ディアッカにも会った。後は…
「アスランとラスティか…」
俺はどちらに聞こうか迷いながら、それでも素早く廊下を移動する。
この際、どちらか先に出会った方で良いと思った。
マルチエンディング・ルール
10枚のカードを全て使って、正解ルートを探しましょう。正解のルートを辿ると話が進展しますが、間違えた時点でバッドエンドになりますので、ご注意ください☆
この後、イザークは誰にアルトの居場所を聞くのでしょうか?
残りカード【2枚】
・アスランに聞く
・ラスティに聞く