ジェニウスを探せ!
▼ ジェニウスを探せ!序章
ヴェサリウスに着任したからといって、すぐに軍港を出発できるというわけでもない。
今回は小規模な評議員の視察を行った後、本国を出発するとのことで、着任してから数日経った今でも俺たちはまだ本国にとどまっていた。

「…いったい、いつになったら出港するんだ…全く、さっさと視察でも何でもすませてしまえば良いものを!」
「まぁ、落ち付けって。ここでイライラしてても仕方ないじゃん?」
「なんだと?!貴様…」
「あー、ほら、荷物来たぜ?」

俺がもう一言怒鳴ってやろうとしたら、タイミングの悪いことにベルトコンベアに乗った荷物が流れてきた。

「ちっ……貴様、後で覚えてろよ!」
「んー?あ、イザークちょっと先に行っててくれ」
「なに?」
「忘れ物。じゃなー」

何ともいいがたい間抜け面をしてディアッカの奴は足取りも軽く来た道を戻っていく。
だらしのない顔が余計に崩れていたから、どうせ女のところだろう。そんなもの俺にはどうでも良かった。

「ふんっ…好きにしろ!二度と帰ってくるな!」

俺は流れてきた荷物を乱暴にひったくって、そのままヴェサリウスにある部屋へと帰る。
まことに不本意だが、アカデミーでもヴェサリウスでもディアッカの奴と同室。適当に帰ってくるだろうと思って俺は荷物を自分のベッドの上に投げた。

「全く…」

俺はイライラする気持ちを何とか収めるため、今回新たに持ってきた、遙か昔に栄えていた民族についての伝承本を読む事にする。

「確か…」


放り投げた荷物の中にしまいこんであったはずだったな


そう思って、荷物のロックに手をかけるが…

「開かない?!」

暗証番号も正確だ。俺が間違えるはずなどない。そして再び暗証番号を入力するも、荷物は固く口を閉ざし、機械的なエラー音が数度鳴り響いただけで終わった。

「…ど…うなってるんだ!これはぁ!」

元々イラついていただけに、俺の沸点は簡単に上昇した。我ながら気が短いとは思うが、今はそんな事どうでも良い。
ふと、荷物についているタグに視線を落とし、よく見てみると

「…アルテミス・ヴァル……ジェニウス?!」

信じられない名前がついていた。
どうやらよく確認せずに荷物をひったくったせいで、他人の荷物を持ってきてしまったようだった。
この荷物ケースは軍支給のもので、アカデミーの卒業時に配られる。同期は皆同じ色とデザインになっていて、どうやら俺は…認めたくはないが、間違えてしまったらしい。
俺はとっさに周りを見回し、誰もいない事を再度確認すると安堵のため息を吐いた。

「…誰も見ていない…ディアッカの奴も気づいていないだろうしな…」


ここは、誰にも見られないように荷物を戻すしか…


「おー、イザーク。お前、荷物取り忘れてんぜ?ここまで持ってきてやった俺ってシンセツー」
「おわぁぁぁぁぁあああ!!」

プシュッと音がしたかと思うと、後ろからノンキな声がかけられた。
俺は慌てて間違えて持ってきた荷物に上布団をかける。

「あ?!ど……どうしたんだよ…」
「ラスティ!!部屋に入る時くらいコールしろ馬鹿者ぉ!!」
「なに?エロ本でも見てた?」
「ディアッカと同じにするな!!」
「じゃ、いいじゃん。全裸ってわけでもないし。それより、これ」

そう言って差し出してきたのは、確かに俺のネームタグがついた荷物ケース。


こんの……おせっかいノー天気馬鹿が!!!!


そうして俺は憤慨したままラスティの手から荷物をひったくった。

「こらイザーク。お礼は?ちゃんとありがとう≠チて言ってみ?」
「貴様は小姑か!勝手に持ってきておいて礼を強要するな何様だ!」
「お、れ、い、は?」
「言わん!さっさと出ていけ!」

明らかに人を小馬鹿にしたような顔をされては、素直に礼も言いたくなくなるというものだ。
俺はラスティを蹴り飛ばし、部屋から強制的に追い出す。そして今度はしっかりとロックをかけた。
ドアの向こうでは、おー、いってぇー≠ネんてラスティの間延びした声が聞こえるが完全無視だ。

「くそっ…!!ラスティめ……!」

ラスティの余計なお節介のせいで、当初の計画が台無しになった。

「…ちっ…めんどうくさい…」

このままでは、荷物を返しに行こうにも行けない。まだラスティがうろついているかもしれないからだ。


荷物を持ったままウロチョロしてたら、バレる…!


とりあえず荷物は隠しておくとして、ジェニウスに会ったらさりげなく渡してやるしかないだろう。

「…重要なのは、アイツが今、どこに居るか…か」

常に居場所を把握しているわけでもないし、ここは誰かに聞いた方がてっとり早そうだった。
そうして俺は、一つ決心をすると部屋から出て行く事にした。
ジェニウスを探しに…

マルチエンディング・ルール
10枚のカードを全て使って、正解ルートを探しましょう。正解のルートを辿ると話が進展しますが、間違えた時点でバッドエンドになりますので、ご注意ください☆

この後、イザークは誰にアルトの居場所を聞くのでしょうか?


残りカード【10枚】
・アスランに聞く
・ニコルに聞く
・ディアッカに聞く
・ラスティに聞く
・ミゲルに聞く
・オロールに聞く
・クルーゼ隊長に聞く
・アデス艦長に聞く
・母上に聞く
・食堂のおばちゃんに聞く
キャラ投票
嘆きの華キャラに投票しよう!
下記の中からアナタの推しキャラを選んで応援してください★


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