▼ふがいないしあわせがぼくにとっての生きがいでした



「久しぶりだね、円堂くん」
ヒロトは中学生の時に出会って、高校で一緒のクラスになって、大学ではまったく別々(そもそも成績に雲泥の差があってだな)になってた。軽い挨拶を交わして席につく。
「まもたんとは、呼ばないのな」
「だからあれは酔っていただけなんだってば!もう忘れてよ!」
メニューで隠された顔は、たったこれだけの歳月によって大人びていた。安心したような、うん、なんだかなぁ。
「はぁもう……あ、夏未ちゃん元気?」
「元気も何もスゲー元気!」
「はは、尻にしかれてるねぇ」
「…何故わかったヒロト…!」
「……………ハハッ」
哀れみの視線。いやだって夏未可愛いし、しかれてるのも満更ではないうわ何を考えてるんだ俺は!注文したカフェオレが2つ運ばれてくる。
「ねぇ円堂くん、このあと暇?」
「暇だからお前んとこに来れたんだって」
「あ、それもそうか」
俺とヒロトの生活空間の間には大分距離がある。俺は相変わらず雷門から離れられずにいるけれど、ヒロトは九州方面の大学で一人暮らし。
「俺んとこの大学でも見てかない?もれなく立向居くんがいるよ」
「立向居!あいつとはかなり会ってないしな、うん、行く!」
「じゃあ、行こうか」


河原沿いの道、ヒロトは数歩前を歩きながらゆったりと歌を歌っていた。英語らしくて何を言ってるのかわからなかったけど、ただなんか、少し申し訳なくなった。それでも、まもるとはもう呼んでくれないヒロトは、ずっと歌を歌っていた



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ELLEGERDEN/marry me



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