05
…
始まりは、きっかけは何だったんだろう
スリザリンだから?それともただ単に気に食わないから?
でも思えばホグワーツ初日、行きの汽車で出会ったあの瞬間からジェームズ、シリウスとセブルスの気が合いそうにはなかった事は覚えてる。
サラがジェームズたちとセブルスが仲良くない…どころか対立していると知ったのは"その事実"が獅子寮と蛇寮の1年生の多くが認知している頃だった。
ー…つまりは、それを知ったのは遅かったてことだ。
「それで、マクゴナガル先生がね…」
『いいなあ、私もアニメーガスを習得したい』
休み時間特にすることも無いから散歩でもしようとリリーとベラ、ジャスミンの4人で池の近くを歩いていた時リリーが急に足を止めた
不思議に思って顔を覗き込むと瞳はすこし先にある木の向こうの側、より池の近くの方を見つめてる
何かあるのかとそっちを見ようとしたけれどそれよりも先にリリーの口が動く方が早かった
「また、アイツらだわ」
『え?』
口から漏れた小さな声に反応した時にはリリーは既に見つめていた池の方へと走り出していた
小さい声だったけど、またアイツら、とつぶやくのを確かに聞いたしそれにあんなに慌てて行くってことは何か大変な事があったのかも
『ちょっとリリーを追いかけてくる!』
「ちょっと!?」
少し先を歩いていたベラとジャスミンに一言告げてリリーの後を追う
『リリー!』
リリーに追いついた先にいたのは、
杖を持つジェームズとシリウスに、少し後ろにいるルーピンとぺティグリュー
そして四人に向き合うようにしてずぶ濡れのスネイプに、怒りで拳をぎゅっと握るリリー
杖を持つ2人のにやけた顔を見て、悔しそうなセブルスの顔を見てそれを何往復化してようやくこの状況を理解した
悪戯仕掛け人の4人でセブルスを標的に悪戯をしたんだろう
「口うるさいエヴァンス、
今日はサラも連れてきたのかい?」
サラはポッターの一言にピクリと反応した、今日は、という事は"こういう事"は良くあるんだろうか
でも今はずぶ濡れのセブルスを優先しなきゃ
寒いこの時期に濡れたまま放っておけば確実に体調を崩してしまう。
『セブルス風邪をひいちゃう!
早く寮に戻りましょう』
「サラもスニベルスの肩を持つのか?」
『スニベルス?』
「めそめそスネイプのことだよ」
ちらりと目をやればセブルスは気まずそうに目をそらした
『セブルスはメソメソなんてしてない』
「ポッター、ブラック!いい加減にしなさいよ!」
「おー、怖い!」
リリーが4人に詰め寄っている間にセブルスは側に転がっていた杖をとり、リリーとの言い合いに夢中になっていたシリウス目掛けて呪文を放つ
「うわ!?」
呪文は見事にブラックに的中し彼は少し吹っ飛んだ
「セブルス!」
そんなことしては行けないと名前を呼んで咎めるリリーだけどセブルスは聴いてない
自分を呼ぶ声を無視して学校の方へ急ぎ足で帰っていった
『…何時もこんな事してたの?』
「あいつ気に食わねぇんだよ」
シリウスの言葉に開いた口が塞がらない
気に食わないって、それだけ?それだけで?
『みんなに悪戯してるのかと思ってたから何も言わなかったけど…セブルスを狙ってやってたなんて!』
「あいつだって仕返してくる!」
『当たり前でしょう!?4対1なんて卑怯よ!
そんなことする人達だったなんて…!』
さらに爆発しそうになる怒りの感情をぐっと飲み込んで小さく深呼吸をする
早くこの場から離れないと気分が悪くなりそう
『次またやってるのを見かけたら仕返しするからね、覚悟してなさい!』
――――――――
「サラ…?どうかしたの?」
『いいえ、なんにも!』
目の前に並ぶたくさんの料理をお皿にこれでもかと乗せて一心不乱に食べるサラをみて、リタが口を引くつかせ伺うように聞いた
「セブルス・スネイプがポッターやシリウス達に虐められていることろを見たんだって」
「知らなかったの?」
『みんな知ってたの!?』
「4人がスリザリンの一人を目の敵にして有名だもの、」
残りの3人もゆっくりと頷いた
『うそ…全くもってこれっぽっちも知らなかった…』
「サラはウワサ話とかそう言うのにまるで興味がないものね」
「サラに言おうか迷ったんだけど、セブルスが言うなって…」
リリーはすまなさそうに眉をはの字に下げたけれど彼女がそんな顔をする必要は全くない
『そりゃそうよね…私だって、私だったら言って欲しくないもん』
「それでどうなったの?」
ジャスミンがパイをつつきながらさり気なく聞く
あまり興味が無い風を装ってるけれど、内心はすごく気になってると思う
彼女ってばこういう話が大好きだもの
『セブルスが仕返しをして終わった』
「仕返しをするなんてそんなのダメだわ」
『私はあれぐらいならいいと思うけどなあ…』
「サラ!」
『ごめんなさい!』