(01:モーニングコール(木ノ瀬))


朝ダヨ起キロー朝ダヨ起キロー。何年も愛用していて最早恋人と言っても良い程の目覚まし時計ぴよ太郎くんが鳴き響いた。愛しのぴよ太郎くんのおかげで朝が弱い私もすんなりと起きれてしまうので今日も今日とて大感謝だ。

「いけない早くしなきゃ」

インターハイ予選が近い。弓道部の私は月子ちゃんと共に女子の個人戦に出場することになっていた。月子ちゃんは綺麗な容姿通りに綺麗に弓を放つので大丈夫ではあるけど私は別である。宮地くんにも「お前の弓は光がない」と言われてしまったのだ。

「先輩、早いですね」
「あ、梓くん…!」

慌てて弓道場に行き自主練をしていたら期待のルーキー木ノ瀬梓くんに見られてしまった。彼は本当に上手だから恥ずかしいことこの上ない…つい何を言われるかとビクビクしてしまう。

「朝から練習なんてなまえ先輩は十分に頑張ってますよ」

梓くん君はただの神様だよ。

「へへ、ありがとう!…でも私下手くそだから」
「僕は先輩の弓道に対する姿勢は好きですけどね」
「ありがとう…お世辞とは分かりつつも照れちゃう」

喜びつつも謙遜してみればお世辞じゃないですよと返ってくる。こんなかわいい後輩に褒めてもらえて私はとても幸せだ。

「僕でよければ見ましょうか?」
「!お願いします!」


梓くんという強力な助っ人基先生のご指導の元、沢山弓を射った。こうやってると弓道って楽しいなとつくづく思う。下手くそなのに辞めたくない。だから私は好きこそモノの上手なれって言葉が大好きで信じてる。
気付けば時計は7時15分をさしていた。

「あっいけない!」
「どうしたんですか?」
「モーニングコール!忘れてた!」

モーニングコール?と首を傾げる梓くん。何を隠そう私は幼なじみの隆文を毎朝電話で起こしてあげているのだ。まったくダーメなやつである。と得意げに話してみた。

「ちょっとごめんね…」
「あっ…いえ何でもないです、どうぞ」
「ありがとう」

もしもし隆文起きてる?『…んおー…起きて…る…。』コラーッ!起きてるとか言って二度寝しない!もう7時15分なんだから早く起きなさい!『んー…』んーじゃないよ…!朝だよ起きろー!朝だよ起きろー!『…ははっ朝からぴよ太郎の真似かよ元気だななまえは…』起きたか?『おう…』はいさっさと着替える!また後で教室でね!


「ふぅー…ごめんね梓くん!」
「…いです」
「えっ?」
「犬飼先輩ばかりなまえ先輩からモーニングコールがもらえるなんてずるいです!…あっそうだ」

何かを思いついたらしい梓くんは何故か自分のケータイを取り出し電話をかけはじめ…えっ私?

「あっえっと、もしもし…?」
「おはようございますなまえ先輩。…ちゅっ」
「!?」

電話口から聞こえるリップ音


「今度からは先輩のことは僕が、こうして毎日起こしてあげます」


そしてぴよ太郎くんがおやすみした



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