宮地龍之介1

ああもう何この購買!今日の放課後までに提出のプリントを昼休みご飯を食べながらやめようと決めた。というわけで手軽なパンを買いに来たわけだがなんなんだ此処は。酷く混んでいる戦場なのか此処は。焼きそばパン食べたいよ!食べてみたいのに!なのに生憎私はこの購買にいる人間の中で唯一の女。身長も体格も残念ながら男の子には敵わないのですぐに人混みから出されてしまう。

「おー名前じゃん、何やってんだお前」
「ああああ犬飼くん良いところに!私のかわりに焼きそばパンを、焼きそばパンを買ってきてください!」
「はははなんだそういうことか。俺に任せろ…と言いたいところだが此処は戦場、女も男も関係ないからなあ俺はパス」
「は!?犬飼ばーかばーかばかやろー!」

じゃあお先ーと見事に戦場に入っていく犬飼くんを睨みつけたが彼は容易にメロンパンをゲットしていた。憎たらしい犬飼くんはこっちを見てにやりと笑っている。見た目は男の子でも奴のハートは意地の悪いおばさんだなと心の中で頷きつつ人混みに入る努力する。がすぐに追い出されてしまう。

「名前先輩何してるんですか」
「やあ梓くんか君見てわからないかね私は今戦場に入ろうと…入ろ…う…と…」
「あーあ低身長って不利ですね」
「君には言われたくないかな」
「…かわりに買ってきてあげようかと思いましたがやめます」
「ごめんなさい梓様許してください」

人の渾身の謝罪を見事に無視し去っていく梓様は見た目男の子ハートは女王様だと頭にしっかりと刻んだ。さて私はどうするべきだろうか。これはもうご飯を諦めて課題をやるか食堂に行って課題を諦めるかの二択しかないだろうか。今度からはちゃんと女子も入れるように会長に媚びを売りにいくべきだろうか。会長にお色気作戦は通用しないかな…ブツブツブツブツ。

「お前は何を言っているんだはしたない」
「あっ宮地くん」
「どれだ?」
「はい?」
「何のパンがほしいのかと聞いているんだ」
「あっえっえっと焼きそばパン…です…」
「…少し待っていろ」

そういって人混みの中に入っていく宮地くん。えっえっ何なにがおきてるいきなり登場した宮地くんはもしかして私のために焼きそばパンを買いに行ってくれている?どうして私がパン食べたいって分かったんだろう。




名前がブツブツ言いながら教室を出ていったので気になってついていけば目的は購買だったらしい。あいつのあの身長であの人混みに入っていけるのかと思い見ていれば案の定追い出されていた。あいつら普段は名前さん名前さんって煩い癖に食べ物がかかわると人がかわるのか。だが健気な名前はかわい…って俺は何を言っているんだ。犬飼に頼り木ノ瀬に頼り、最初から俺に頼ればいいものを。
と思っていたら生徒会長にお色気作戦だの聞き捨てならぬ台詞が聞こえ気付いたら俺はあいつに近寄っていた。

「何のパンがほしいのかと聞いているんだ」

俺はすぐに焼きそばパンを買いに行った。む、確かにこれは女にはきついかもしれん。

「ほら、焼きそばパンだ」
「宮地くんありがとう!」

あいつの笑みは本当にかわいくて愛おしい…って俺はまた。名前は俺を素直にさせる魔法使いなのかもしれないな。あいつには敵わない。あいつの笑みが見たくて、いっそプリントもうつさせてやるか。甘やかすのは良くないが今日は特別だ。

「プリントもうつさせてやる」
「本当!?嬉しい!」
「ただし」

今日みたいになにかあれば必ず俺を頼ること




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -