夜久月子1

私は落ち込みやすい。中学生の時、派手な所謂リーダー格の女の子達のグループにいじめられてから。彼女達は何故かクラス内でとても権力を持っていたから、他のグループの女の子達も一緒になっていじめてきたし、男の子達はまったく関わってこなかった。とりあえずこのいじめから逃れられれば私は幸せになれると思っていた。中学3年生の春、父親の仕事の都合で転校した。前の学校とは打って変わって、いじめはなかった。ある女の子達のグループと仲良くできた。でも私はなんとなく察することができたのだ、自分はこの女の子達に利用されているだけだって。だから、この学園に来た。近年共学になったばかりの、ほとんど男子校状態である星月学園に。女の子は怖いけれど男の子は関わってこないから上手くやっていけると思った、のに、

「初めまして、あなたが神話科の名前ちゃん?私天文科の夜久月子っていいます!女の子が2人って聞いて少し怖かったんだけど、優しそうな子でよかった!」
「あ…、えっ、と」
「わ、怖がらせるつもりはなかったんだけど…いきなり話しかけられたらびっくりしちゃうよね、ごめんね、」
「いえ、私に何か…?」
「んーっと、用というか、名前ちゃんと友達になりたいな、って」
「友達…」
「あ、いやだったらいいよ…!いきなり無理いってごめんね…!」

もう1人、女の子がいた。はじめから知っていれば関わらないように気をつけただろうに、話しかけられるまで知らなかった。その女の子は今まで見たことがないくらいかわいらしく、お人形みたいな顔つきをしていた。つい反射的にびくついてしまった私をみて落ち込んでしまった彼女に申し訳なくなってしまい、

「え、と…月子ちゃん?よろしくね…」

恐る恐る、言った。


「ふふ、そんなこともあったよね」
「正直あの時は月子は私を引き立て役として利用しようとしてるだけだと思った、ごめんなさい」
「え!名前みたいなかわいい子と一緒に歩いてたら私が引き立て役になっちゃうよ!」
「それはないですよ月子さーん」
「名前は自分のことを卑下しないの!自覚しないとダメだよ」

む、と顔を近付けて軽いお説教をしてくる月子に、出会い頭のことを思い出して笑ってしまった。今ではこんな仲なのに敬語敬称な時代もありましたね。私が、ふ、と笑えば何故か赤くなってしまう月子。照れ屋か。土萌くんの視線が痛いです。

「名前が月子を大好きなのは分かったけどよ…」
「お前だって女なんだ。自分のことも心配しないと」
「毎回毎回月子の代わりに被害受けて馬鹿みたいだよ君」
「いいの、私は大丈夫。月子を守れればそれでいい」
「ダメだよ!」

名前のことが心配なの!

もうこの子大好き




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