木ノ瀬梓6

暑い、なんて思って空を見上げたら爽やかな青空。そういえば梅雨入りしたのかしてないのか気付いたら夏の気温、そろそろ受験生がピリピリしてくる時期なんだなとシミジミ。受験を控えてる私は受験生なんて自覚もなく、ただただそれまで遊べればいいなと呑気なことを考えていた。きっと私以外にもそう思っている子は沢山居るはず、そう信じて私はのんびりするのだ。

「名前の場合は遊びすぎ」
「えー梓に言われたくない」
「僕はちゃんと勉強もしてるよ」
「わ、私だって、」
「してないでしょ」
「…はい」

図星をつかれて耳が痛い。どうしてこうも梓に負けるのか私、そろそろ勝ってもいいのではないでしょうか。そう言えば、僕に勝とうなんざ百年早いんじゃない、疑問符も無しに返ってきた憎たらしい。昔から負かされっぱなしで正直なところ私はそろそろ悔しい。コイツには女子力すら負けてる気がしてならないのだ、あーなんか見れば見るほど女の子みたいな顔してるな、お目目くりくり、ふふ。

「何にやけてんの」
「にやけてないもん」
「もん、とか本当に気持ち悪いなあお前。とりあえず勉強したら、馬鹿丸出しだよ」
「嫌だそして失礼!天才梓様が付き合ってくれるならやろうじゃない勉強、勉強会と称して涼みに行く」
「図書館行け図書館。僕は頭良いから必要以上には勉強しないんだよ」
「憎たらしい憎たらしい憎たらしい憎たらしいああ憎たらしい!梓あんた前回テスト学年何位だったの!」
「首席ですが。お馬鹿な名前さん」

う、ま、まあ、このご時世就職にも学歴が影響してくるし、そう考えると、あと、このままだと高校行けなさそうでやばいかも、しれない。今の不況の元、高校にも行けず働くこともできずではいい加減家から追い出されてしまう、そしたら私はニート通り越してホームレス決定。住む家もなく路頭に迷う、ぜっっっったいに嫌だ。

「いきなり現実的になってるところ悪いんだけどこっち向いてくれる?」
「梓、手にボールが握られているのは気のせいだよなというかどっから出、し、…あいたっ、顔面にぶつけるとかなに!」
「あ、ごめん、わざとなんだ」
「認めたし…私一応嫁入り前の女の子だし…」
「一応女の子の顔に傷つけちゃったし、責任取ってお嫁に貰ってあげるから勉強はやっぱりいいや」
「…………やっぱり一緒の高校行きたいから勉強する」
「星月学園偏差値高いよ」
「わ、私がんばるよ!がんばって次期末で学年2位取るし絶対行くから!」
「まあ期待はしないでおく」






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