土萌羊1

「こんなの絶対おかしいよ!ねえ錫也!哉太!そう思うでしょ!」

目の前にはぷりぷりと怒る土萌くん。


「え、月子ちゃん休みなの…?」

ガンガンと照る太陽。とても体育祭日和な今日。絶対に勝とうね!と私に元気に笑いかけた月子ちゃんがなんと貧血で欠席してしまった。私の出る競技は玉入れだけだけど月子ちゃんは玉入れに障害物リレーに二人三脚と大忙しに大活躍なわけで、天文科2年一同口をあんぐりと開けフリーズした。これはまずい、非常にまずい。皆が我を取り戻しあたふたし解決策も何も思いつかない非常事態。

「落ち着けお前ら!夜久は保健室から応援してくれてるぞ!」
「でも夜久の競技どうするんだ!?」
「なーに言ってんだ、うちにはもう1人名前という女子が居るじゃないか」
「…は?」
「!ナイス直獅!直獅にしてはナイス!」

鬼畜直獅。そして冒頭に至る。

「どうして月子じゃないの?」
「休みなんだから仕方ないだろ」
「諦め悪いな羊は…」
「おかしいよ!おかしい!僕は納得いかない!」

月子ちゃんが出場するはずだった競技、二人三脚のペアは土萌くんだったらしい。土萌くんとは話したことはないけれど月子ちゃんと話している時に何度か睨まれたりと、とりあえず月子ちゃんラブなことだけは分かる。そんな土萌くんは月子ちゃんと二人三脚をできない事に対して不満が溜まっているらしいんだけど、なんだか私が悪いことをしてしまっている気分だ。

「羊、それ以上言うと名前さんが困るぞ」
「僕も今まさに困ってるよ」
「そんなに嫌なら錫也と組むか?俺が名前と組むし」
「哉太は黙ってて!本当変態なんだから!」
「変態!?」
「下心まる見えだよ。脳内で月子に置き換えようとしてるんだ、うわあドン引き」
「誰もしようとなんてしてねーよ!なんだお前!」

とうとう七海くんと喧嘩をはじめてしまった。困ったように東月くんを見遣れば同じ困った顔をして、笑っていた。2人でため息だ。東月くん私と組んでくれない?、それは羊が怒るからできないな、どういう意味だろ。

「土萌くんあの…私じゃ嫌だと思うけど、頑張ろ?」
「…」
「あっもしなんだったら七海くんか東月くんと組んでもいいよ!私がどっちかと組むから」
「…それはダメ」
「なんでだよ」
「なんか、彼女と2人がくっつくって思ったらもやもやするっていうか、月子がくっついてるのもなんか変な感じしちゃうし、彼女に近付こうとすると息が苦しいし、…わかんない」

ニヤニヤする東月くんと七海くん。その言葉とニヤニヤの意味に私達が気付く頃には入場のBGM。

「えっと…よろしくお願いします」
「あっうん…」




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