連載 | ナノ


いつもの如く昼は稼ぎ時、それを乗り越えた私はとっても疲れた非常に。名前ちゃーん、とおばさんに呼ばれなんだろう、と振り返れば私の大好物のホイップパンを持っていた。

「これ賞味期限があと30分なのよーよかったら食べちゃって」
「い、いいんですか」
「名前ちゃんいつも頑張ってくれてるから!」
「ああああありがとうございます!いただきます!」
「これでホイップパンも完売ね」

じゃあお先に失礼しまーす、とおそらく賞味期限切れの廃棄であろう焼きそばパンを持って帰っていった。今日はおばさんが居てくれたから本当に助かった、忙しさが半減だから。ホイップパンをいつ食べようか、睨めっことにやけを片手に考える。ホイップパン、人気だからいつも手に入らないのだ。今食べちゃおうかな。なんて結論を出したら、男の子が私の元へと走ってきた。

「すみません、ホイップパンって残ってますか」
「…」

なんということでしょう。ちゃーららーららー。

「どうして慌てて、…そんなに食べたいんですか?」
「いや、幼なじみが、食べたがってて」
「?あそこに立ってる、女の子ですか?」
「ああ、はい。それでホイップパンは、」
「…、どうぞ!」

これ貴女のじゃ…、と目を真ん丸にして聞かれても、まあそうなんですが、としか。確かにこれは私のホイップパンだけれど私が今ここで我慢しないでお客様の信頼を裏切ることになるのはご勘弁だ。いいんですよ、と返せば、いくらですか、と聞かれたのでどうせ廃棄なので良いと丁重にお断り。

「彼女さん、大切にしてあげてください」
「え、いや、彼女じゃ、」
「ほら、待ってますよ!行った行った!」



「だからお前はそんなにご機嫌なのか」
「ふふふん」
「良いことをしたようななんというか…誤解付き」
「なんか言った?」
「いや、なんでもない」

放課後、部活が休みらしい宮地くんが食堂で話さないかと誘ってくれたのでお言葉に甘えてご一緒させてもらっている。昼休みの出来事を意気揚揚と話せば微妙な反応で、私もなんだか微妙な顔を作ってしまった。あ、そういえば、食堂に頼んだ新作スイーツの試作品があるのだ。思いついたように宮地くんの前へと出せば明白に目を輝かせたので思わず笑ってしまう。水をとってくる、っと言って宮地くんが去った、

「あれ?女の子ー?」
「…どうも」
「1人?君どこから来たの?俺らとお茶しない?」
「いえ、こ、困ります。そこは友人の席だから、す、座らないでください…」
「もしかして噂の購買のお姉さん?お話しよ?」
「私の話を聞いてください、」
「なになに聞こえない」


「今すぐその人から離れろ、然もないとただでは帰しませんよ」