連載 | ナノ


昼時の購買のレジ係を終えおばちゃんと交代した。その夜は食堂で再び皿洗いの手伝いをしていた。食堂のおばちゃんがなんとか新作スイーツを考案してくれそうでホッとする、よかった。そして部屋に戻ってからは、宮地くんから貰ったホイップパンをぺろり。美味しすぎたのでついプリンもぺろり、更にパフェもぺろり。後悔。太ってしまった。

「それでお前は落ち込んでるのか」
「そうなんです、って何故」
「声に出てた」
「なんだと…琥太郎くん…」

そんな目で俺を見るんじゃない。ただいま保健室、職務怠慢な琥太郎くんが珍しく起きている貴重です。そんなこんなで太ってしまった私はちょっとした知り合いの、保健医琥太郎くんにダイエット指導を受けに来た。ダイエットなんて生まれてこの方したことがないから知識が皆無なのだ。

「というわけでダイエット指導をお願いします根性なしの私でもお急ぎスピードで痩せられるくらいの」
「どこら辺が太ったのか分からないのだが」
「体重が…」
「恐らく一時的なものだろうな」
「根拠は!?ねえ根拠は!!」
「…今暇か?」
「まあ、今日はオフだから…それがなにか」
「頼んだ」

それだけ言って琥太郎くんは寝た、職務怠慢にも程がある。こんな保健医で大丈夫なんだかこの学校は…ベッドに倒れ込んで数秒で寝息が聞こえ、若干笑ってしまった。暇だな、なんて思いながら辺りを見渡せば、1週間前掃除をしに来たばかりなのにとても汚い。仕方がないから、片付けをすることにした。机の書類から片付けてるとあからさまに重要らしいプリントと必要のなさそうなプリントがオンパレードで、この人には耳にタコができるくらいは序の口レベルに、整理整頓を語らなければ将来のお嫁さんがかわいそうだ。失礼しまーす、どうやら来客者のよう。

「すみませーん、星月先生いらっしゃいますか?」
「はーいどうしました?琥太郎くんは絶賛職務怠慢中なので代理です」
「…女の人」
「あ、ああ。そっかそっか、この学園女の子1人しか居ないんだもんね」
「星月先生の、恋人…?」
「違います」
「即答ですか」

クスクスと楽しそうに笑った彼の膝は血が流れていたので、慌てて手当をした。