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「……父さん。俺たち、父さんが嫌いとか、そういうわけじゃないよ。それは、勘違いしないでほしい」
「……俺たちは、ただ、シュウが、好きで、抑えられなかったんだ。そして、多分、これから先も」
「…………」

草平はしばらく黙り込み、やや間が空いてから立ち上がった。その目は虚ろだが、何処と無く諦観を帯びているようにも見える。

「……周平と話したい」
「いいよ。あっ、耳栓つけてるから、俺たちの会話は聴こえてないよ」

草平はベッドに座り、周平の耳栓を外してアイマスクを外した。
素顔が露わになった周平は、涙や精液でぐちゃぐちゃな顔をしていた。快楽に身を任せたその眼が、草平を捉える。

「あ……あにき……はぁ、おかえり……ん、つぎはあにきのおちんちんくれるの?」
「……シュウ。ごめんな。ごめんな」
「なんで……あやまってるんだ? あにき……なかないで……な? おれのからだであそんでいいから、なきやんで」

ひたすら謝罪を繰り返す兄に、周平はきょとんと眼を丸くしながら、そんな兄を慰めるように行為へ誘う。

ごめんな、ごめんな、みんなおれのせいだ。
ゆるしてくれ、ゆるしてくれ那智、ゆるして智樹……

ゆるしてくれ、周平……。

甘い、甘い香りがむせ返る部屋。
この匂いは罪の香り。兄弟と、叔父甥と、男同士と、犯してしまった甘い大罪。

その罪は、拭えないほど重く、痛い。







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