13

case3 グリーン


ぱしん! ぱしん!

「ひっ、いった! や、やめろっ、叩くなっ、あぐっ!」

ぱしん!

古びた廃工場に響くのは、平手が尻を叩く音。つまりはお尻ペンペンである。

床に這いつくばって尻を叩かれているのは、黒い戦闘服に身を包んだ怪人。
そして叩いているのは、緑色のスーツに身を包んだヒーロー、グリーンだ。ガッチリと怪人の足を自身の足に絡ませて関節を極めているため、怪人は逃げ出すことが出来ない。
グリーンはかなりの大柄で、腕周りも太い。顔立ちはどことなく朴訥で穏やかだが、今は眉を八の字に下げて曇らせている。

グリーンは困ったような微妙な表情を浮かべながら、半ば作業のように怪人の尻を叩く。

ぱしん!

「ひぐっ!? ……ぅ、う……も、もう十分だろうっ! やめて……やめろぉ!」
「ちゃんと反省した?」
「だ、誰がするかっ!」
「そうだよね。それじゃ、もう少しお仕置きしないと……」

ぱしん!

「うぁあっ!」
「ちゃんと反省してくれないと、みんなが困るからね。痛いけど我慢して。……僕の手も痛いよ」

グリーンはアンニュイなため息をつく。

事の発端は、かれこれ三十分前。緊急出動したグリーンが、この怪人を追い詰めた時から始まる。

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