7


シバが缶ジュースを投げ捨てる。
その手が、俺の首に回った。

「リュウ……今ならまだ、俺は自制できる。……帰れ、もう来るなっ。ガンだって今の病院なら治せるかもしれないんだろ?」
「……シバ」

俺はシバを真正面から抱き締めた。
シバの首筋に顔を埋め、頬を擦り付ける。無精髭がじゃりじゃりと音を立てた。

「……リュウ、髭くすぐったい」
「おっさんだからな、仕方ないだろ? ……俺はもうたくさん生きた。もう、充分だ。シバ……愛してる」
「リュウ」
「それとも、もうこんなおっさんじゃ嫌か?」
「リュウ……リュウ……」
「あぁ、俺はリュウだ。お前の幼なじみで、親友で……」
「リュウ……リュウ、リュウ、リュウっ」
「そして……多分きっと、恋人だ」
「……リュウ、リュウ……リュウっ、リュウっ……っ! 俺も、俺もだ! 愛してるっ、死んでも愛してるっ、愛してるから……そばにいてくれっ!」

リュウ、リュウ。何度も何度も俺の名を呼びながら、シバの指が喉に絡みついた。
ギリギリと首が締まっていく。息が出来ず、どんどん苦しくなる。
俺はそれでも構わず、シバを抱き締めた。もう、離さない。

「リュウ……愛してる」

ああ、愛してる。さあ、逝こう。もう、これからはずっと一緒だ。





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