2

「なあ、リュウ」
「ん?」

2本目のビールで少しだけ酔いが回ってきた俺の赤ら顔に、シバのひんやりと冷たい手が伸びてきた。

「SEXしよーぜ」
「ん、いいぞ。……あー、去年どっちがどっちだっけ?」
「去年は俺が抱かれたから、今年は俺が抱く方だ」

シバが唇を寄せてくる。そのままキスをして、舌を絡め、お互いの唾液を交換する。

「ん……っはぁ……リュウ、苦い」
「ぷはぉ……しょうがねえだろ、ビール飲んだばかりなんだ。お前だってミカンの味がするぞ」

俺たちはお互いの味に文句を言ったあと、からからと笑った。

シバは、死者だ。
いうなれば地縛霊。
かれこれ22年も昔に、事故で死んだ俺の幼なじみ。
この場所は、俺とシバがガキの頃に作った秘密基地。シバは死んだ後、なぜかこの場所に留まっている。
けれど、会えるのは一年に一度だけ。シバの命日であるこの日以外は、姿も見れないし触れることもできない。

「ん……はぁ、にしてもよ、不思議だよな。なんで幽霊なのに、こうやって触れるし……はぁ……SEXまで、できるんだ」
「ちゅぱ…ん、それは俺もよくわからん。波長が合うとか、そんな感じじゃないのか? ちゅ…」

俺の裸の胸にシバが舌を這わせる。くすぐったくて少しだけ冷たい舌先が、俺の乳首をコリコリ弄る。

「はぁ……ん。シバ、おっさんの胸なんか楽しくないだろ……」
「楽しいから弄るんだろ。ん、ちゅぱ。……リュウ、やっぱり腹出たな。くく……このまま中年体型真っしぐらだ」
「うるせ。はぁ……っん、ちゃんとダイエットしてらぁ」
「奥さんは大変だな。お前よく食べるもんな?」

くす、とシバが笑いながら、俺の鼻先にキスをする。
シバの冷たい手がチノパンのチャックを下ろし、トランクスに入り込む。陰茎を直接揉みしだかれ、俺は直ぐに勃起した。

「んあっ! はぁっん……シバ」
「悪いやつだ。奥さんと娘さんがいるのに、こんなとこで男に触られて勃つなんてな」
「ふ…ん…ふふ、相手が幽霊じゃ、どんな探偵でもわからねえよ。それに、会えるのも一年に一回…んぁっ……」

これを浮気と呼ぶのかどうか、俺にはイマイチぴんと来ない。
まあ、どっちだっていいか。どうせ、目の前のシバに触れる事が出来るのは俺だけなんだ。

「シバぁ……はぁん……ぁ……」
「……リュウ、しゃぶって?」




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