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フカフカのシートの上に倒れた私の上に、大きな身体がかぶさってくる。坊ちゃんだ。

「な、何をなさるつもりですか」
「だから、誕生日プレゼント貰おうと思って。……なあ巴、俺ってもう18なんだぜ? すんごい我慢してきたと思うんだ。……だから、もういいよな?」

ばたん、と後部座席のドアが閉まる。
外はすでに夕焼けがピークを過ぎて沈み始め、刻々と夜の帳が降り始めていく。

私は坊ちゃんにマウントを取られたまま、坊ちゃんの制服のネクタイで腕を縛り上げられていた。

「ずっと、待ってたんだ。巴と、こんな風にするの」
「や、やめてください。悪ふざけはいい加減にしないと、流石の私も怒りますよっ?」
「いいよ、怒っても泣いても止めないから。……巴」

ばり、と私のスーツの胸元が乱暴に割かれ、ボタンが幾つか車内に飛んでいった。
ひっ、と私は息を飲む。怖い、暗がりで表情が見えない坊ちゃんは、まるで知らない誰かのようだ。

私は混乱と恐怖で染まる頭で必死に考える。何が坊ちゃんの機嫌を損ねたのだろう。幾ら何でも戯れで済む話ではない。

「イヅル様っ、私が何か不手際でしたなら謝ります。ですからどうかお許しくださいっ」
「……不手際?」

くっくっ、と坊ちゃんが笑う。いつもの笑い方だが、何処か違う。

「そんなの無いよ、あるわけ無い。巴はいつだってソツなくて優秀で……だからかな、たまにイジワルしたくなる」

かり、ちゅる。
坊ちゃんが私の胸に舌を這わせた。両胸の突起を舐め上げ、吸い付き、跡を残していく。そんなところを初めて弄られた私は訳も分からず歯を食いしばって耐えた。

「っあ……イヅル……坊ちゃん。やめてください、お願いです」
「ちゅぱ。……巴、その呼び方久しぶりだな」

坊ちゃんが胸元から舌を這わせて、私の首筋を食む。耳元で響くその声はどこか嬉しげだった。

「巴、もう一回言って?」
「……イヅル坊ちゃん?」
「そう、それ! 俺が小坊のころまでそう呼ばれてたな、懐かしい。昔は子ども扱いみたいで嫌だったけど、呼ばれなくなると少し惜しい気もしたな」

ちゅ、と坊ちゃんが私の頬に吸い付く。ぺろぺろと舐められ、私は混乱した。

「坊ちゃん……戯れはもう終わりに致しましょう? 誕生会に遅れてしまいます」
「はあ……巴、これだけやってまだ冗談だと思ってんの?」
「……」
「はっきり言うぞ。俺はな、巴。お前にずっと、ずっと惚れてんの。ガキの頃からずっとな。お前は……気づいてないけどさ」


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