喫茶店1



俺はとある喫茶店でバイトをしている。遊ぶ金も欲しいし、ついでにちょっともてたかったから、オシャレな感じの喫茶店に面接を受け、無事採用された。

都会の片隅にひっそりと佇むこの店は、所謂隠れ家的な人気があるようだ。カップルやらはやり好きの女子大生とかよりも、一人きりで珈琲を愉しむ渋い客が多かった。
もてたかった俺は失敗したと思った。もっと、こう、出会いが欲しいもんだろ?

でも……


「智哉くん、こっち、少し手伝ってくれ」

マスターが俺を呼ぶ。やたらいい声してんだよなぁ、なんつーか、エロい。
マスターは数年前に脱サラしてこの店を始めたらしい。俺を雇うまではずっと一人で店を回していたそうだ。

年の頃は、多分38とかそのくらい。でも年寄り臭さはあんまり感じない、俺の親父と違って下っ腹が引っ込んでるからか?

「これ、洗っておいてくれ。それが済んだら賄いにしようか」

顔立ちはイケメン……いや、なんか違うな。ハンサム? ちょっと昔風の。目尻とかにうっすら皺が出て、それがやたらと渋みを醸し出している。
偶に若い女の客が来ると、注文取りに来たマスターに見惚れてたりする。顔がいいってのは得だね、ほんと。




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