12

「お前と初めて繋がったのだ。儂にとってこれ以上無い祝日だ。永遠に覚えていよう」

俺からすれば最悪の厄日だよ。
虚脱感を覚えて俺は座布団に崩れ座る。何を言っても暖簾に腕って感じで、まるで通じない。

そもそもなんで俺? こんな平凡で一山いくらの凡人よりも、もっと神様に相応しい奴はいるだろうに。

「神様…なんで俺なんかのところに来たの?」
「アキラ。儂はずっとお前を見守っていた。お前があの神社に初めて詣でてからずっとだ。儂は永くこの世界に在り続けているがな、神というのは存外退屈で、とても脆いのだ。だから人の営みを見守り、時に助け、見返りとしてこの永き暇を潰すのだ。
だがな、アキラ。儂はある時、お前の蹴球の先輩に対する懸想を聞いてこう思った。儂も、お主に触れてみたいと。なぜそう思ったのかは未だに判らぬ。だが、機会を伺っている間にもこの気持ちは高まっていった。そして、その時が来たのだ。
アキラ、はっきりと申すぞ? 儂はお主に懸想しておる。この永き退屈な世界で、お主を見守り続けていたが、これからはそれは止めよう。見守るのではなく、お前を護りたい。お前の側に居たいのだ」

これは、告白なんだよな。
どうしよう、なんて返せばいい。
見つめないでくれよ、穴が空きそうだ。今俺、どんな顔してる?

24年生きてきたけど、こんな熱烈な告白なんか初めてだ。
くそ、調子狂う。あー、もうっ!

「アキラ、お前はどうだ。儂では不満か?」
「う……」

不満とか、不満じゃないとか、そういう問題すっ飛ばしてるくせによく言うよ。

とにかく、ここは……

「ほ、保留! あ、朝飯冷める前に食べよう! なっ? そうしよう!」

俺は誤魔化すように箸を取り、白米を無理やり掻き込んだ。

こんな出会いだったけど、この神様とらやたら長い付き合いになるのは、また別なお話。






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