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はぁ、はあ、はぁ……
荒く息をつくながら、俺は社に突っ伏した。
破れたスーツから剥き出しの俺の尻には、初対面の男の精子がとろとろ垂れている。
なんだよ、ホント。マジでAVかエロ漫画みたいな展開じゃん。
最悪なのは、痛みだけじゃなくて快感もあったこと。いやも嫌よも好きなうちってか? ねーよ、馬鹿。

「ひ…ぐっ……な、なんでこんなことすんだよぉ」

恥も外聞もなく俺は泣いた。男のプライドズタボロだ、もはや雑巾にもならないだろう。
神様は逸物を仕舞いながら、決まり悪そうに俯いた。

「すまん……お前に触れたら、抑えがきかなくなった」
「そんなんで済むか! 馬鹿っ、あほっ、たたりがみっ!」

この神様のせいで俺が喪ったものを数える。
スーツ、尻の処女、憩いの場、アフターファイブ。
得たもの、特になし。

「もうやだ! 帰るっ、もう帰るから帰らせてくれっ!」
「わかっている。だが待て、身体を清める」

ばちん、と神様が手を打ち鳴らす。すると白い泡がモコモコと石畳から湧き出して俺を飲み込んだ。
ちょっ、今度はなんだよ! ごぼっ、にがっ、これ石鹸?! 痛い痛い目がぁっ!

意識が暗転していく。死んだら呪ってやる。



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