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「信じるつもりになれたか?」
「なりました! なりましたから、もう止めてくれっ!」

あれを人に知られたら俺は生きていけない。恥の多い人生だけれど、それでもまだやりたいことはあるんだ!

神様は満足気に再度頷いた。

「わかればよい。さて、本題だ。アキラ、お前は恋人が欲しいと言ったな?」
「言ったけど……え、もしかして叶えてくれるんですか?! やったありがとう神様!」

現金な俺は素早く態度を変えた。プライドよりも彼女、目指せ、脱童貞!

「うむ、叶えてやろう。今日より儂がお前の恋人だ。存分に甘えよ」

ぱりん。
俺の心が割れる音がした。
落ち着け、なんだこの展開。いや、うん、あれだ、聞き間違いだよな?
だって神様、どっから見ても男だし、イケメンだし、つまり敵だし。

「あの……神様? 男同士はちょっとおかしくないですか?」
「何故だ? この姿はお前の為に作ったのだぞ? 二重に高い鼻に薄い唇にエラのない頬。お前好みではないのか?」

あ、その顔立ちってそういう訳があったのか。いや…神様、それは飽くまで俺が成りたい理想であって、付き合うのは女がいいんですよ。

「か、神様。人間は男と女が付き合うものなんですよ。だから男の神様と男の俺が付き合うのはおかしいって訳でして……」

俺が懇切丁寧に教えると、神様は凄く微妙な表情を浮かべた。何なのその餅でも詰まらせた顔。

「おかしいな……。アキラ、お前は男に懸想していたではないか?!」

ぶふっ!

ちょっ、やめて! それはだめ、マジで!

「お前が高校生だったころ、蹴球の先輩とかいう男に焦がれていたお前はこの神社に……」
「うおおおおおっ、やめろおおおおおっ!」

マジで勘弁して、それ黒歴史通り越してダークマターだから! 死にたくなるレベルだから!

確かに、確かに俺は一時期サッカー部の先輩にそういう感情を持ってた。でもあれは思春期故の過ちってやつだし、結局そのまま先輩卒業して自然消滅した感情だし。
ほら、女子校でボーイッシュな先輩がやたら持てる現象が起こるだろ? アレみたいな感じだよ! ……俺は共学だったけど。

「あれはただの気の迷いだから! 俺はノンケ! 女が好きなんだ!」



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