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「あんた……なんで俺の名前知ってるんだ? 初対面だろ、俺たち……」
「確かにこの姿で会うのは初めてだな。どうだ、お前の好みか?」

駄目だ、やっぱり電波とは話が通じない。

「……」
「アキラ。まだわからぬか。儂はこの神社に祀られる神だ。此度の顕現は、お前の願いを叶えるため。もっと近う寄れ」

電波さんーー自称神様は、ちょいちょいと俺を招き寄せる。
なんだかもうどうとでもなれ、どうせ出れないし。

俺が近づくと、神様は満足気に笑った。

「それで……神様は俺の願いを叶えてくれるんですか?」

半ば自棄っぱちで言うと、神様はうむ、と応用に頷いた。

「もちろんだ、アキラ。お前はこれまでも欠かさず儂の元へ参っていた。儂はしかと見ていたぞ。だからこそ、可愛いお前の願いを叶えてやってきた。……お前が行脚は嫌だと泣いたなら雨を降らし、試験が怖いと泣いたなら風邪を引かせてやった。覚えていよう?」

え、なんで知ってんのそんなこと。
……まあまて、まだ口から出まかせの可能性もあるし、悪徳霊能者のよくやる手口かもしれない。

「まだ信じぬようだな。……ふむ、ならばもっと想い出話をするとしようか? あれは確かお前が中学生だったころ、この神社で腹痛に苦しんでいた事があったな。その時お前は」
「やめろおおおお! 人の黒歴史をほじくるなぁあああ!」



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