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「マスター。マスターって布団派? ベッド派?」
「え……ベッドだけど」

よし、なら問題ない。
俺はお汁粉をがっと飲み込みお茶で口内洗浄してから立つと、マスターの手を掴んだ。

「え、わ、と、智哉くん?!」
「俺ね、初めてはベッドがいいんですよ」

マスターの寝室は何気に初めて入った。
落ち着いた風合いの書斎っぽい感じ、俺の親子とはここまで違うのか、独身貴族ってやつ?
ベッドはダブルで、なんかフカフカしてる。あ、やっぱり珈琲の匂いがする。

「智哉くん……、きみ、本当に?」
「マスター。賭けをしませんか?」

俺はシャツを脱ぎ、ついでに借りたズボンも脱いだ。コンビニパンツじゃあんまり格好はつかないけど、まあ男同士だし気にしない。
マスターが目を丸くして、それからキュッと鋭くなった。なんか凄い、雄って感じの目。

「もし俺がSEXで気持ちよくなれたら、そん時はマスターとお付き合いします。ダメだったらそん時はそん時で。……マスター?」
「……」

体の相性って大事だと思うんだよね、童貞が言えることじゃないかもだけどさ。
でも、なんとなくだけど、マスターとなら平気そう。根拠はないけど、そう思える。

「……智哉くん」

どん、とベッドに押し倒される。

覆いかぶさってくるマスター。同じ背丈なのにやたら迫力があって怖い。
ちょっと煽り過ぎた? 出来ればお手柔らかに、ってもう手遅れ?

「智哉くん……必ず気持ちよくさせるよ。もう止められないから、本気で嫌だったら殴って逃げてくれ」

ごくん。
思わず唾飲んじゃった。すげー、蛇に睨まれた蛙ってこんな感じだ。

マスターが俺の鼻筋にキスをする。うひゃ、擽ったい。




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