天色

あいつをまともに相手していたら荷解きが夜中までかかってしまう、とため息を吐いて奥の部屋へと足を運ぶ。
基本的な日用品や家具は元々揃えてくれているようで、自分が持ってきたものといえば服や雑貨などの生活用品のみ。ダンボール3つ分程度の簡素な荷物の山を見て、さてやるかと腕まくりをした。







「はー終わった。」



少ない量とはいえ、引越しの荷解きは結構重労働だと思う。この間荷造りしたと思えば今日は荷解き、なんかここ数日の疲れが一気に押しよせて来たような気がしてセミダブルのベッドに寝転んだ。
時計を見ると今は3時少し前、頭の上にある窓から見える空は天色をしていて雲ひとつない。

特にこれから予定もないし、少しだけ寝てしまおう。


―そう決めてから重くなる瞼に従って意識を手放した。





「     くくん、   きて」

「んー・・・ I'm still sleepy.
 Be quiet」

肩を揺さぶる手を掴んでぐいと引き寄せて抱きこむ。
毎日起こしてくれるエドには悪いけれど、俺は寝起きが途轍もなく悪い。一旦寝たらなかなか起きないタイプで、起こしてと頼む割に起こされるとグズグズ眠たいとダダを捏ねるという最悪なタイプだ。
そんな時にエドを抱き込んでねると苦しいのか黙っておとなしくなってくれるもんだからいつもそうやってエドを抱き込んで毎日遅刻しそうになってたっけ。
毎回毎回こんな調子だけど、エドは嫌がる様子も無く起こしに来てくれるんだよな。本当人が良いというか甘いというか。
あぁそうそう、エドって見かけによらず犬っぽくって抱きつくと胸元に頭擦り付けてくるから柔らかい髪が顎を擽って、それがくすぐったくて起きるんだよね。


よしよし、とさわり心地の良い髪を梳いていく。太陽に照らされたら金色に光るあの髪が好きだったっけか。
ふといつもと触り心地の違う髪の感触に未だ重たい瞼を上げてみると、撫で付けている髪の色は人工的に脱色されたミルクティーブラウンで、この状況にどうしていいか困惑した瞳と視線がかち合った。


「えーと・・・・・・誰?」


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