ピンポーンと小気味良いチャイムの音が静かな部屋に響いた。芸能科の友人は今撮影中のはずだけど、と重い腰を上げてドアスコープを覗いた。
一瞬イタズラかと思ったが、少し視線を下にずらすと明るめの髪が目に入った。どこかで見たことがあると思ったら琥珀と一緒に居るちびっこか、と瞬時に思い出せた自分の記憶力を誉めてやりたい。
思わぬ来訪者にどうしたものかと冬李は赤い頭を傾げたが、恐らくは今度開かれるパーティーの事についてだろうと踏んで、とりあえず迎え入れるべく鍵を開けた。



「立ち話もなんだし、どーぞ」


ドアに寄っ掛かったまま、散らかってるけど、と付け足してちびっこが入るのを待つ。
ビビってるのかと思えば案外そうでもないようで、靴を脱ぐとずかずかと部屋に上がり込んだ。お邪魔しますの一言を忘れなかったのは誉めたいとこだ。


「…で、普通科の生徒が特別科の生徒に何か用?」

白いソファーにどかりと腰を下ろして、床に座る彼を見下すように分かりきった質問を投げ掛けるとぴくりと眉を揺らした。


「どういうつもりで琥珀とペアになったんですか。」


「どういうつもりも何も、琥珀が気に入ったからペアになった。たかがそれだけのことじゃねぇか。」

「あなたにとってはたかがでしょう。けど今まで隠れてたあなたの親衛隊達にとっちゃ最高の制裁材料だ」



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