ランプブラック

追いかけるでもなく、俺は無理矢理会話を断ち切って去る琥珀の後ろ姿を眺めた。そうする事が一番最良の選択だと、自分の中の何かが示唆した。
周りでは小柄な男の子達が質問を投げ掛けてきたが、ただ喧しいだけで正直そんな事はどうでも良かった。
ノリが悪い訳ではないけれど、誰に対しても一線を引いて、何に対しても執着のなさそうなあの黒い瞳に、ほんの一瞬影が落ちた。
人間誰しも秘密の一つや二つくらいあるもんだ、なんてよく言われる言葉だけれど、その秘密の大きさには個々で差違が大いに生じる。他人から見ればなんだそんな事か、と思うような事でも本人からしてみれば重大だったり、その逆もまた然り。



「なぁ琥珀、自分は一体何を抱えてるんや」




これは依頼に関わらない単なる俺の興味本意でしかない。何かを背負って生きている人間は気丈に見えるけど、その実とても脆く崩れやすい。
ボタン押すなよ、と言われると押したくなるのが人間の心理な訳で、近寄るなと言われれば近寄りたくなってしまうのも同じだろう。
性格が歪んでると自分でも思うが、気丈に振る舞われれば振る舞われる程壊したくてたまらない衝動に駆られる。






なぁ琥珀、自分の背負うてるモンはどんくらい大きいんやろか?

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