インディゴ

「あれー?琥珀やん!今帰り?」


今日はやけに色んな人(主にイケメン)とエンカウントする日だ。俺が女子なら一生分の運を使い果たしたけど眼福!幸せ!なんて浮かれるんだろうけど、生憎俺は男だ。それも美形が苦手な。


「あぁ、今から帰るとこ」


「んな一緒に帰ろや」


「んー…やだ。」



だって可愛らしい外見の取り巻きの方々からの視線が痛いくらいに投げつけられるから。



―平凡の癖に



取り巻きの誰かが言った一言がはっきりと耳に届く。幼い頃から幾度も言われてきたその言葉に今更傷付く事もないだろう。
決してイケメン本人が悪い訳じゃないというのは重々承知だが、関わらなければこうやって中傷される事もない。それなら最初からかかわり合わなければ全てが解決する。


「じゃあ」


何か言いたそうな相手の会話を無理矢理途切れさせて寮へ向かう。今日は本当に疲れた。


美形から逃れるために全寮制の学校に入学したというのに、かえってこっちの方がエンカウント率が高いとか、なんのために編入したのか分からなくなってくる。




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