フォレストグリーン

結局教室へ着いたのは始業のチャイムが鳴ってから15分を過ぎた頃だった。ガラリとドアを引くと一斉に視線がこちらへ向く。教師の方に視線をやると、既に黒板の3分の1が文字で埋め尽くされていた。
これまた運悪く英語の授業で、神代は俺が席に着いて教科書を広げると一行目から読んで和訳をしろと冷めた目で言い放った。
それを聞いていた周りのクラスメイトはお気の毒様、と言わんばかりの哀れみの目を向けて来たのが再度集まる視線からひしひしと伝わる。



「There were formerly a king and a queen, who were so sorry that they had no children; so sorry that it cannot be expressed. They went to all the waters in the world;vows, pilgrimages, all ways were tried, and all to no purpose.
昔、 王様とお妃様がおりました。二人は子供が居ないことを大層悲しんでおり、世界中の海を渡って神に誓いをたて巡礼し、様々なことを試しましたが全く効果がありませんでした。」




「…よろしい。次から遅刻は気を付けなさい」

「はい」



なんてことない、日本でも知名度のある童話、「眠りの森の美女」の冒頭部分。
遅刻したのが英語の授業で良かったと今心から思った。もしこれがサインコサインあたりで匙を投げた数学だったとしたら俺はきっと課題なり何かしらのペナルティがあったんじゃないかと思う。



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(翻訳は私がしているので間違ってるかもしれないです;)

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