アイアンブルー

で、だ。
こいつ―ironblue―の頭であるアキと呼ばれていたこの男と対峙したのは族狩りを始めて1ヶ月と少し過ぎた頃、…とはいえ以前より夜中に抜け出す事が困難になった俺は一週間に2回も出向けば多い方で、実際は何回目の襲撃の時に出会ったのかなんて正確な事は覚えてないけど。
族狩りをしているという噂がたちまちのうちに広がって、ものの3週間もしないうちにこの町の不良とカテゴライズされる人間の大半を敵に回した俺がアキから因縁を付けられるのも時間の問題だった訳で、そりゃもちろん対峙すればどちらともなく然も当たり前かのように戦いのゴングが鳴らされた。






アキは周りに手出しさせる事を許さず、勝負は一対一のタイマンで行われた。
その日は丁度小雨が降っていて、よく不良達がたむろする場所は地面が泥濘るんでいた。
身長は至って平均だと思うが、如何せん相手が高身長の奴が多く、リーチの差を考慮して小回りを効かせて攻撃を繰り出す俺にとって、踏ん張りがきかないというのは致命傷だ。ここで逃げ出すという選択肢もあったのだろうが、俺の男としてのちっぽけなプライドがそれを許してはくれなかった。





下手に動いて足を取られては敵わない、と向かい合っている相手の出方を探る事を先決した。
少しずつ詰められる間合いに緊張が高まる。今まで相手にしてきた雑魚の奴らとは比べ物にならない威圧感を放つ相手に、さすがチームを率いるだけの事はあると変に感心した。

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