白橡

編入してから1週間、閉鎖されたこの学園に馴染めるかというのがちょっと気がかりだったけど、編入生が余程珍しいのか、心配事は見事杞憂に終わり休憩時間には自分を中心に人だかりが出来ていた。
みんな気さくで明るい奴ばっかりでとてもエグい制裁をかます親衛隊なんて居ないように見えるが―――見た目で判断するべからずという事なのだろうか。かくいう自分も見た目によらず喧嘩が強かったりする訳だし。







「…く、琥珀、聞いてる?」


「ごめん、聞いてなかった。何て?」


「もー。次の授業移動教室だから一緒に行こって。場所わかんないでしょ?」



そう言って膨れるのは隣の席の三坂梼。面倒見が良くて、編入生で右も左も分からない俺に何かと世話を焼いてくれる。一回お母さんみたいだと言ったら小突かれた。小柄なのに意外と力があるみたいで地味に痛かったので二度と言わないと心に誓った事が記憶に新しい。



机の中から薄い教科書を引っ張り出して移動の準備をする。授業と授業の間は10分空いているが、校舎が広い為移動教室となるとこんな短い休憩なんてあってないようなものだ。
これが体育の授業だったりすると着替えと移動でこのだだっ広い校舎内を全力ダッシュしなくちゃいけないんじゃないかと思うとぞっとする。自慢じゃないけど俺、瞬発力は人並み以上にあると自負してるけど、持久力の無さは人並み以下だからね。

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